486 常識の話をしようぜ……なっ、なっ

 過酷な文化祭を乗り越えたと言うのに、何故か、その後あまり上手く行ってない俺。

なので当然、いつも通り、ぶぅぶぅぶぅぶぅ豚みたいに愚痴ばっかり言っております。


そして、その追い打ちを書ける様に……(;´д`)トホホ


***


 それは……12月に入って、鬱陶しく薄暗い曇った天気が続く中。

珍しくも快晴に恵まれ、ホンの少しだけ普段より気温の高い冬の午後。

いつもの様な奇妙奇天烈なおかしなイベント事も起こらず、平穏な放課後を迎えた、ある火曜日の出来事だ。


少し、今まで言った様な不幸な理由が重なっていた俺は、そんな自分に嫌気を刺しつつも、バンドの練習に向う為に音楽室にノロノロ移動し様と、これまた教室でノロノロと帰り支度をしていた。


その時、その忌まわしい話を持ってくる事件は起こった。


―――それが、何かって言うとだな。


仕事前に、一旦帰宅しようと教室を走り去った山中の馬鹿が。

なにを思ったのか、イキナリ血相を変えた上に、息を切らしてまで教室に戻って来やがったんだよ。


しかもな。

奴のその手には、あの忌まわしい思い出のある『外タレの音楽雑誌』(序章23話参照)と、一般的に日本で売られている雑誌が数冊握られていた。


それが、全ての事の始まり……


これを見ただけで俺は、瞬時に嫌な予感だけしかしなかった。



「マコ……またや。また、あのアホが、信じられへん様な事をやらかしやよったで。アイツの頭の中は、ホンマどないなっとんねん?」

「あぁ?なんの事だよ?……って、もぉ言うだけ野暮な話だな。今度は、あの馬鹿なにをやらかしやがったんだよ?そんなに馬鹿が馬鹿な真似をしたのか?」

「いや、ほんま、今回バッカリはマジでまいったわ。もう正直な、口に出すのも嫌なぐらい、今まで以上に有り得へん話や。規格外の馬鹿らしさやで」


うむ……この様子じゃ、過去の経験以上に、相当、嫌な話が舞い込んで来たらしいな。

しかも、それを語る様に、山中が持つ雑誌からはロクでもないオーラが止めどなく流れ出てやがる。


こりゃあ、マジで最悪そうな展開だな。



「……っで、なにがあったんだよ?」

「はぁ……なんも言わんと、その雑誌のページだけ開け。今回に関しては、それが全てや」

「開けたってよぉ、何ページを開きゃ良いんだよ?」


一冊の雑誌を受け取ったのだが。

それ以降の指示がなかったので、こう聞いてみた。


だが、奴は首を横に振るだけで、なにも答える様子は無い。


ただ、こんな一言だけを言ってきたのみだ。



「見開きや……」


うぇ……『見開き』って……

あの馬鹿、今度は数ページ先に話じゃなくて、雑誌の見開きになる様な真似をしやがったのか?

雑誌に、そこまでキッチリ取り上げられるって事は、マジで、なんかやらかしやがったんだな。


この時点で想像したくもねぇな。


……っても、雑誌を見なきゃ話にもならねぇんだから、嫌でも見るしかねぇんだよな。


気落ちして、おセンチな気分なだけに見んのヤダなぁ~~~。


心で文句を言いながらも、嫌々ページを開く。


そこには……



「あぁ?なんだこれ?マサチューセッツ・フェス1?なんのこっちゃ?」


うん?


なぁ~~~んだよ。

折角、必要以上に覚悟を決めてページを開いたって言うのに……何かと思えば、どこかの地方で行なわれたフェスの特集じゃねぇかよ。


こんなもん、別段珍しくもねぇだろうに。

言わば、世界中のアチラコチラで、年がら年中、ある程度の期間を置いて、どこでも行なわれている様なフェスの一環じゃねぇかよ。


アホ臭ッ。

基本的な部分で、アイツなんも関係ねぇじゃん。



「アホの王様。……どうやらまだ解らんみたいやから、次のページ開け。それで今度こそ、全部解る筈や」

「いや、待て待て。つぅか、これじゃあアイツ、なんも関係ねぇじゃん」

「なんでやねんな!!関係なかったら、家に帰る途中でワザワザ学校戻って来るかぁ!!」

「いや、けどよぉ。これって、どっかで行なわれたフェスの話だろ。それにフェス自体も第一回みたいだし。例えアイツが、此処に参加したとしても、別に驚く様な話でもないだろに」

「あのなぁ、マコ。ホンマにそうか?ホンマにアイツは、その程度の男か?」

「そうじゃねぇの?幾らアイツでも、この短期間なら、その辺が限界だろ。普通そんなもんだよ、そんなもん」


……だと思うんだがな。


確かによぉ。

山中の言う通り、崇秀の馬鹿は、普通じゃねぇ異常者だよ。

以前にも、渡米してたった3ヶ月で、インディーズ契約をしたバンドをアメリカで3つも作ったって馬鹿みたいな実績も有りますよ。


だから、此処は否めない話だから認めるがな。


例え、それ以上の話になったとしてもだ。

流石に、この短期間じゃ、精々メジャーに昇格したってのがオチだろ。


そんでフェスに参加した。


このまごう事なき正当な意見で……なんか間違ってるか?



「普通やったらな。普通やったら、オマエの言う話も筋が通とるやろうな。……けど、今、俺等、誰の話題で話してんねんやったっけ?そこが一番重要やぞ」

「いや、だからよぉ。さっきもキッチリ言ったじゃねぇか。馬鹿秀だろ馬鹿秀。馬鹿秀の話がしたいんだろ」

「コイツ……解ってんのに、その態度なんか?有り得へんな。それともなにか?それは俺も知らん様な、特殊なボケか?」

「ボケじゃねぇつぅのな。常識で考えて、それ以上なにが出来るって言うんだよ」


常識の話をしようぜ。


今は、夢物語を語る様な心境じゃねぇんだよ。


なっ、なっ。



「オマエ……絶対に秀の行動力が解ってて、現実逃避してるやろ?」

「ぐっ!!なっ、なにがだよ?」


チッ……バレたか!!


あぁそうさ!!そうだともさ!!

俺は、今の自分が、あまりにも不甲斐無いから、現実から眼を背けたいだけさ。

だからアイツの成功話なんざ、微塵も聞きたくもねぇんだよ。

……つぅかな、もっと解り易く言えば、次のページを捲りたくないだけなんですわ。


もぉこの時点で嫌だぁ……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さって、誠にありがとうございますです<(_ _)>


文化祭が終わって、ホッとしたのも束の間。

矢張り、奴が、この文化祭の期間中にも大きな動きを見せていた。


一体、今度は、何をやらかしたのか?


それは次回の講釈。

また良かったら遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


もぉ胃が痛てぇよぉ……( ;Д;) ('ω'*)サダメじゃ。

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