最後まで奏でられなかった音楽(シーズン3)
殴り書き書店
第一章・第十八話 際限なく悪夢を魅せる者
485 ちょっと聞いてくれよぉ……
第一章・第十八話『際限なく悪夢を魅せる者』が始まるよぉ~~~♪
(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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018【際限なく悪夢を魅せる者】
『師走に入ったって言うのに……俺、いつになったらバンドの活動が再開出来るんだ?』
あぁ……愚痴さ。
これは、比類なき恒例の愚痴だともさ。
どこの誰が聞いても、無惨なだけの愚痴さぁ。
……けどよぉ、それを承知の上でも、愚痴が零れて来るんだから仕方がねぇじゃねぇかよ。
そんな訳だからよぉ。
俺は此処で、ある確率に賭けてみる事にしたんだ。
その賭けって言うのはな。
こんな馬鹿馬鹿しい男の愚痴だと知りつつも、世の中には、きっとそんな愚痴すらも聞いてくれる『心優しい人間』なんてものが、方々に存在するって事に賭け様と思ったんだよ。
世界は広いんだから、そんな一握りの優しい人が居てくれるって可能性にな。
いや、寧ろな。
もうこの時点で、こんな俺を、少しでも哀れむ気持ち湧いて来ているなら、俺のストレス解消の為に、ちょっとだけ話を聞いてやって下さいな。
今回のこの最初に言った愚痴には、れっきとした理由があるんかだらよぉ。
(↑有無を言わさず、結局、話し始める自分勝手な俺)
いや……まぁ、なんて言うかな。
その如何にも仰々しく言った『れっきとした理由』ってのはだな。
実は、文化祭以降の話に有るんだよ。
―――それが、なにかって言うとだな。
まず此処で、なにを聞くよりも、最初に思い出して欲しい事が有るんだがな。
あの大人達の欲望渦巻く糞文化祭で催しされた歌謡コンクール。
俺等のバンドは上手く演奏をかまして、観客を熱狂させた事実。
そして……カジ&グチの目標であった優勝を掻っ攫った事の、この2点だ。
まぁ、この辺は、先刻承知の事だとは思うんだがな。
此処までは万事順調に予定通り、全てが上手く行ってたから、基本的に文句はねぇんだけどよぉ。
それ以降が良くない。
……あれ以降な。
そのせいで、俺は、なんとも釈然としない様な毎日を送ってる事に成っちまったんだよなぁ。
……って言ってもだな。
この釈然としない毎日を送ってるのは、全てが俺自身に問題があるって訳じゃないんだぞ。
俺なんかよりも、もっと問題な人間が居るんだよ。
―――それが誰か?って言うとだな。
『カジ&グチ』なんだよな。
ド素人のバンドが、下手に優勝なんてしちまったんもんだからよぉ。
あの馬鹿2匹、変に慢心して気が緩んじまったのか、揃いも揃って、練習をしててもイマイチ気合が入ってない酷い惨状に成りやがって……ほんと困ってんだよな。
そりゃあまぁ、アイツ等の言い分も、わからない訳でもないんだぞ。
当初の目標である『グチの家へのプレゼントとしてテレビゲットする』なんて事を罷り也にも達成したんだから、多少なりとも気が抜ける気持ちが有っても、おかしくはないからな。
けどだ、例え、それが上手くいったからと言っても……今のアイツ等は腑抜け過ぎだ。
その証拠にだな。
奴等2人は、文化祭が終わって以降。
約一ヶ月と言う期間が経過した、この時期になっても、未だ『Blinded by me』以外の曲を、未だにロクに演奏する事すら出来無いままの状態なんだよなぁ。
要するに、レベルアップ処か、いつまでも、その場で足踏みしてる状態に陥っている状態だ。
んでだ、そんな足踏み状態に陥ってる2人を、個人個人で見た時、どんな惨状かって言うとだな。
カジの奴はな。
優勝の副産物である『千尋との友人関係になる』と言う約束が、これまた下手に成立してしまったお陰で、千尋のイベントがある毎に、奴の居る場所に出向き。
その際には、一向に第二音楽室に現れない処か、現れる気配すら感じさせない。
それ処か、此処最近では、練習もせずに遊んでバッカリいやがるんだよ。
ほんで、偶に、音楽室に顔を出してと思ったら。
ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべながら、千尋との糞面白くもない惚気話を延々とするだけで、殆ど練習の邪魔しかしやがらねぇ。
正に、今のカジは、以前の熱血力も糞もない『腑抜けた色ボケの極み』だ。
……っで、もう片割れのグチはと言えばだ。
名ギターリストのステラがバンドに加入した事を、此処最近では必要以上に喜び。
音楽室に来ても、なにやらバンドが上手くいった時の『取らぬ狸の皮算用』とやらをしている始末。
初めて、この様子を見た時『今までの様な堅実なグチなんて、最初から居なかったのだろうか?』っと言う錯覚にさえ陥ったもんだ。
まぁ……それでもグチに関しては、最低限ではあるが、音楽室に来た時に限ってのみ、必死にドラムを叩いて練習してる訳だから、多少は目を瞑れる部分も有るんだがな。
ボーカルのカジが、いつまでも、この腑抜けた有様じゃ、バンドとして話にもならない。
当然、こんな状態だから、いつまで経っても、このバンドの初ライブの目処は付かないし、演奏出来る曲が一向に増えないので、ライブ以前の問題も増加の一途辿っている。
正に八方塞っと言え様。
―――要するにだ。
1度でもバンドをした事がある人間だったら、この状態は、誰が聞いても愚痴りたくもなる状況だって話だな。
……っでだ。
この『カジ&グチ』の件は、これで終わりなんだが。
更に、俺に追い討ちをかける様な話が『2つ』も、嫌な事に舞い込んで来るのが、俺が不幸の代名詞と言われる所以。
まず、その『1つ目』って言うのはだな。
この文化祭流れの話から想像すれば、ある程度だったら予測出来るとは思うんだがな。
その『1つ目の嫌事』って言うのは、ウチのクラスの女子全員で結成された『2B-GUILD』の話だ。
この異色のユニットは、ご存知の通り、既に全国的に人気のある素直を中心とした構成で作られたユニット。
故に、素直自身の人気がユニット内に伴ってる分、これ自体に人気が出るまで、あまり時間は掛かる事もなく。
文化祭終了後、たった、この一ヶ月で『全員がクラスメイト』って言う物珍しさも有ってか、アッサリと爆発的な人気を、その身に受ける事になったんだよ。
この辺に関しては、素直の人気+『スリー・ストライプの山さんの手腕が光った』って処なんだろうけどよぉ。
それにしたって、冬休みに入り次第『全国ツアー』が予定されているのは、些かヤリスギじゃね?
更にだ。
これだけ良い状態にあっても、此処に来てアイツ等のユニットにとっては、2つの喜ばしい朗報が入って来ててだな。
その朗報の1つ目って言うのがだな。
意外な話かも知れないんだが、実は『木根琴美の話』なんだよ。
アイツな……あんなに太ってたし、あの独特の喋り方からしてもドン臭そうなイメージが強いんだけどよぉ。
実は、運動神経が抜群に良いんだよな。
それにアイツな、ガキの頃から、親の薦めでコーラスの勉強をさせられていたらしく、元々声質の完成度も程良く高い。
こんな理由から木根は、ダンス、歌唱力共に、ユニット内でメキメキと頭角を現し、あの独特なキャラクターも伴って、今では、ユニット内で素直に次ぐ人気を博してるんだよな。
まぁそうは言ってもだ。
その張本人の木根自身は、変に慢心してる訳ではなく。
元々あんなボケた性格だから、余りなにも気にして無い様なんだが、木根の異常な人気の上がり方を見て、他のメンバーが黙ってる訳がないだろ。
当然の様にだな、奴に対するライバル心が変に火が着いて、全員が全員、ダンスや、歌唱力アップに精を出し始めた訳だ。
要するにだな。
木根のせいで、文化祭の時の『2B-GUILD』とは比べ物にならないぐらいレベルアップしているって話だ。
まぁ、これに関しては『なんともまぁ、世の中何が起こるかわかんねぇなって感じ』なんだがな。
アイツ等にとっちゃあ、なにも悪くない話ではある訳だ。
しかもな。
これはまだオフレコだから、此処だけの話なんだがな。
この12月から始まる『ケン・山本の冠番組』に、交代制では有るが、2B-GUILDのレギュラー出演も同時に決定しているんだから、このユニットをプロデュースした俺としては、ホントに救いがない。
歌謡コンクールで華々しく優勝を飾った筈の俺等が、酷い体たらくな状態で。
準優勝のユニットに『完全に置いてけ堀を喰らってる』と言う奇妙な状態になってる訳だからな。
なっ……こんな輝いてる彼女達を見ていると、俺の立場上やるせねぇ気持ちになるのも解って貰えるだろ?
―――んな訳でだ。
この俺達のバンドと、素直達のユニットの落差を考えたら。
俺が、少しは愚痴りたくなる心境になるのも、更に、わかって貰えるたと思う。
んで、そんな、おセンチな気持ちの俺にトドメを刺してくるのが、先程言った気焦りするもう片方の話なんだがな。
それついてを、これから話をしようと思うんだが……
その最悪な話が、これだよ(↓)。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございます<(_ _)>
本日より第一章・第十八話【際限なく悪夢を魅せる者】が始まった訳なのですが……倉津君は相変わらずの様ですね(笑)
結構大きなイベントを回しただけに、かなり成長してるかと思いきや、いつも通り、冒頭では愚痴ってるみたいです。
さてさて、そんな中。
またしても次回、そんな彼に悪夢が舞い降りて来ます。
そぉ……この文化祭中、一切の音沙汰がなかった奴が。
ってな訳でございまして。
次回は、そんな感じのお話が展開されますので、良かったら、また遊びに来て下さいね。
フォフォフォフォ(V)o¥o(V)
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