4.魔法使いと居候

 ミサキを泊めた日から早くも一週間が経過した。

 いつも通り、生活していても金髪のJKやその他、怪しい人物は現れなかった。

 都度、ミサキの生活に支障が出ない範疇で連絡を取り合って安全を確認し、街中では遊佐アカリをはじめとした政府の人間、警察などには目を光らせていた。

 気の抜けない一週間であったことは確かだが、遊佐アカリとレヴナントの襲撃が嘘だったかのように街は平和だった。


「そういえば、何も起こらんのは不気味じゃな」


 ソファでくつろぐ俺の膝を枕にしている師匠は思い出したように呟いた。


「確かに」

「拓哉の脅しが効いているのかもしれぬな」

「えぇ? 俺なんかやっちゃいました?」


 師匠の言う通り、構えた盾に触れてすらこないというのは気味が悪い。


「まぁ、諦めてくれたならそれで良いんだけど」


 と、フラグらしいフラグを立てたところでインターホンが鳴り響く。


「あ、儂の宅配便かもしれん」

「なに頼んだの」

「札幌限定デラックス濃くウマ味噌ラーメン・スペシャル海鮮エディションじゃ」

「うまそう」

「置き配が出来ないから、わざわざ上がってきたのじゃな、ご苦労なことじゃ」


 師匠は自分のものだと言った割には動く気配を見せず、二回目のインターホンが鳴り響く。


「おい動けや!」


 俺は師匠の頭をソファに落とし、玄関へ走った。


「すみません、お待たせを……」

「三岳拓哉、お前宛ての荷物か? 受け取っておいた」


 ドアを開くと、姿を現したのは宅配業者のお兄さんとかではなく、小柄な金髪のJK、遊佐アカリだった。

 彼女は小包みを何食わぬ顔で手渡してきた。


「あ、どうも……。じゃなくて! 何してんだオメェ!」


 急に現れるものだから、心臓ちゃんがまたしても飛び跳ねてしまった。


「その後、坂本ミサキの容態はどうだ」


 遊佐アカリは心からの叫びをガン無視して話題を展開し始めた。


「鼓膜破れてんのか? お前……」


 俺も他人に言えた義理では無いが、少しは他人の気持ちも分かって欲しい。


「今回、坂本ミサキの経過観察が決定し、私が監視役を任されたことを伝えに来た」

「……あっそう」


 戦う意思は無いということだろうか。ならそう言えばいいものを。

 ひとまず、ここ一週間の不気味さの正体が判明したところで、遊佐アカリは依然として俺を睨み上げている。


「それだけ?」

「坂本ミサキと面会したい。お前に許可も取らずに会えばトラブルになると思った」

「律儀だな、信用できると思うか?」


 遊佐アカリは無表情で手にしていたスクールバッグを床に置いた。


「武器はここに置いておく」

「……」

「……」

「……」

「そうか」


 一言呟くと、制服のボタンに手を掛け、ブレザーを脱いだ。


「え、ちょ?」


 何の躊躇いもなくワイシャツのボタンも外していく。


「なな、何してんの⁉」

「武器を持ってないことの証明……」

「脱がんでよろしい!」


 玄関先で何してくれちゃってんのこの小娘。

 話せば話すほど、コンピュータと話していると錯覚してしまう。

 合理的過ぎて調子が狂う。


「……」


 ……水色のブラジャーだったな。


「なんだ、信じてもらうためには仕方のない行動だと思ったのだが」

「仕方がないで自分の下着を晒すな、アホ」


 現役のJKのブラジャーを見てしまったという背徳的興奮が俺の思考を鈍らせる。

 というか、こんなお堅い雰囲気を醸し出しておいて、着けている下着は年相応というか、思いのほか普通なのが意外だった。


「で、返答は?」

「わかった、わかったから。これ以上俺の日常を荒らすな……」


 これ以上会話を拗らせたら次は何をやらかすか分かったものではない。



 ミサキの家まで行くリスクは冒せない。

 ということで、遊佐アカリが急な凶行に走らないためにも、会合の場所は人気のある本厚木駅前のファミレスを選んだ。

 店内は昼時には少し早いが、人は十分に入っていた。

 俺とミサキは隣同士になり、遊佐アカリは向かいに座った。

 遊佐アカリは何食わぬ顔でメニュー表を広げて早々に料理を注文したが、命を狙われている俺とミサキからしたらカオスな状況に絶句するほかない。

 遊佐アカリは注文を済ませたしばらく後もメニュー表を見て、こちらに話しかけてくる様子は無かった。


「お待たせしました、海鮮ミートパスタと、コーンスープです」


 遊佐アカリが手を上げる。


「えと、拓哉くん……」


 運ばれてきた料理に遊佐アカリが夢中になってしまったため、居辛い空気が延長された。

 俺は咳ばらいをして、自己紹介を放棄している遊佐アカリの代わりに彼女を紹介することにした。


「彼女が遊佐アカリ、政府の犬で、ミサキの中にいるレヴナントを退治したいらしい」


 嫌味を込めた紹介に遊佐アカリから鋭い視線が飛んでくるが、自業自得だと、鼻で笑っておく。


「な、なんでこんなことになってるのかな? あはは……」


 ミサキが困惑するのも無理はない。

 先日殺されかけた相手とファミレスでテーブルを囲むのは異様だろう。


「お待たせしました、海老とカニのチーズグラタンと、サラミとトマトのピザです」


 遊佐アカリが手を上げる。


「俺と政府の戦争を避けるために交渉にきたらしいよ? どうやらミサキを差し出せってことらしい」

「そっか、じゃあ今度は私が政府の人に狙われてるわけだ。あの時と逆だね。それにしても、こんな美人さんが兵隊さんなの?」


 ミサキは遊佐アカリを見て笑った。


「厄介なことにね」

「不甲斐ない魔法使いへの色仕掛け作戦かな~。うわ~効き目ありそー」


 と、ミサキは俺の肩を指で突いてきた。


「やめい。てか呑気だな」

「お待たせしました、スペシャル海鮮パエリアと、デラックスチキンステーキです」


 遊佐アカリが手を上げ――


「――お前はどんだけ食うんだよ!」

「金なら私が持つが?」

「当り前だ!」

「さておき、坂本ミサキ、お前には質問が幾つかある」


 遊佐アカリは俺のツッコミを無視してミサキへ口を向けた。

 やっと話し始めたのはいい事だが、決してナイフとフォークの動きは止めない姿勢には少し腹が立つ。


「う、うん」

「身体は平気か?」


 最初の質問が彼女を殺そうとした人間から出る質問とは思えないが、これも何かの意図があるのだとしたら気が抜けない。


「え、えっと、うん、大丈夫だけど……」

「そうか……なら、三岳拓哉の仮説は正しかったようだな」


 遊佐アカリは俺の方を一瞥して、スプーンですくったパエリアを口に運んだ。

 攻撃しなければレヴナントは出現しない。

 俺が苦し紛れに立てた仮説だ。

 なるほど、それを証明するための経過観察か……。

 パエリアを飲み込んだ遊佐アカリが再び口を開いた。


「次に、私たちの特別保護下に置かれる気は無いか? 衣食住は不自由なく、今までの生活と何ら変わらないことを保障する」


 俺は遊佐アカリの提案に目を細める。


「経過観察って、物は言い様だな。何事もありませんでした、だから大丈夫! で済ませるわけねぇよな? お前らが……」


 ミサキは俺の顔を一瞥したあと、遊佐アカリに視線を戻して静かに冷たい息を吐きだした。


「私さ、拓哉くんが高校の時、政府の人たちに酷い扱いを受けてるの知ってるんだよね」


 ミサキは強気な口調で遊佐アカリに反論した。

 だが、表情だけは柔和なものを貫いている。

 まるで子を守る母親のような気迫だ。


「拓哉くんの青春を奪って、苦しめておいて、今度は私ってわけかな?」

「ミサキ……?」

「私があなた達にどんな扱いを受けようとかまわない……だけど、拓哉くんがまた酷い目に合うなら私は協力しない」


 ミサキの圧力に臆することなく、遊佐アカリは無表情で、空いたパエリアの皿をスライドさせた。


「そうか、なら三岳拓哉を巻き込むのはやめよう」


 と、遊佐アカリは俺に視線を向けてきた。


「ダメだ。ミサキを酷い目に遭わせるわけにはいかない。どんな理屈を並べようと、何を天秤にかけられようと、お前らの思い通りにはさせないからな」


 微かに遊佐アカリの眼光が研ぎ澄まされる。

 沈黙が場を包む。

 俺と遊佐アカリの視線が火花を散らす勢いでぶつかり合う中、空気を壊して声を上げたのはミサキだった。


「とまぁ、ご覧の通り私も含めて、この場に折れてあげるような『大人』は居ないわけだし、やり方を変えてみない?」


 ミサキは手を叩いて提案した。


「私には街を壊そうとする動機が無いのは、分かるよね?」

「信用できない」

「じゃあ信用を勝ち取らなきゃだ。これから私は拓哉くんと一緒に住むことにします」


 ミサキの声が静かな店内に良く響いた。


「は?」


 自ずと素っ頓狂な声が出てしまった。


「え、いいの?」

「うん、私がレヴナントだとして、暴走したら拓哉くんが止めてくれるし、それならアカリちゃんも安心じゃない?」


 ミサキはまるで用意してあった台本を読むように提案していく。

 遊佐アカリは俺とミサキを交互に睨んできた。

 この一週間、ミサキは何も考えていなかったというわけでは無いようだ。

 当事者だから当たり前ではあるが。

 一通りミサキが喋り終えたところで、遊佐アカリが口を開く。


「私は三岳拓哉も信用していない。言い換えれば、私たちは大丈夫だから手放しにしていいよ……そう言いたいんだな? 出来ると思うか? 爆弾と爆弾を放置するなんて」

「んーーじゃあ、アカリちゃんも一緒に居てみれば?」

「おい、ミサキ!?」


 黙って聞いていたら、とんでもない方向へ話が進んでいた。


「一緒に居れば、拓哉くんが意外と頼りになるの、分かると思うよ?」


 遊佐アカリはステーキにナイフを刺したまま停止し、テーブルを凝視した。


「ミサキ? どういうつもり?」

「いいじゃん、私、別にアカリちゃんのことが嫌いってわけじゃないし、というか可愛い子はみんな好きだし」

「いや、そう言うこと聞いてんじゃないのよ」

「もう、拓哉くん、強いくせにゴチャゴチャうるさいよ?」

「これはだって――」


 俺の声は遊佐アカリに遮られた。 


「分かった。それで行こう」


 遊佐アカリの声に俺は顔を両手で覆った。


「やった! じゃあ決まりだね!」


 満面の笑顔を浮かべるミサキをよそに、遊佐アカリはステーキを切り始める。

 俺の意思は……?


「話がまとまったところで連絡先の交換でもしたら?」


 と、ミサキは気分が良さげに俺の背中を叩いてきた。

 決まってしまったことに後からゴタゴタ言うのは好きではないので、ここは流されるとしよう。

 もうどうにでもなりやがれ。


「アカリちゃん? スマホ持ってる?」


 遊佐アカリは視線を左右に揺らしながら、頑なに握っているフォークとナイフを置こうとしない。


「おい、金髪、早くスマホを出せ」

「……わ、分かった」


 催促すると、観念したのかフォークとナイフをテーブルに置いた。遊佐アカリが渋っている理由は分からない。

 金髪JKはゆっくりとスクールバックの中からスマホを取り出してテーブルに置くが、その表情はどこか自信が無さげというか、気恥ずかしそうな表情だった。


「わぁ、綺麗なスマホリングだね、アカリちゃん」


 ミサキは真っ先に背面のスマホリングに着目した。

 ルビーをリング状にカットした石細工にゴールドの土台。

 確かに、彼女が使っているスマホリングは平均的に見ても派手だ。

 お堅い言葉を並べる彼女も洒落っ気には目覚めていると考えると、ほんの少し微笑ましい気分になる。

 だが、スマホリングを凝視している内に、このスマホリング……石細工をどこかで見たことがあるような感覚に陥り、微笑ましさは一変して違和感へと変化する。


「……なんだ、三岳拓哉、文句でもあるのか?」


 遊佐アカリから不服の声が上がる。


「……い、いや……これ、どこに売ってた?」

「これは……貰った物だ……よく覚えていない」


 遊佐アカリは決して俺の目を見ずに答えた。


「拓哉くん? どうしたの? 顔怖いよ?」

「え、あぁ、ごめんごめん。なんでもない」

「大丈夫なら連絡先の交換しちゃおう?」


 ミサキが場の主導権を握っていたのはさておき、まさか自分の命を狙っている相手と連絡先を交換する日が来るとは思わなかった。



 夕食後のリビングにはテレビの音声だけが鳴っていた。


『現在でも新宿区ではレヴナント災害の生存者の捜索が続けられています。ホームページに行方不明者一覧を掲載しています。情報をお持ちの方は……』


 俺がやらなければ台所に洗い物が溜まってしまうので食器の片づけを余儀なくされていた。

 師匠は不機嫌な横顔を浮かべてテレビの前でくつろいでいる。


「師匠、悪かったって。俺も反対はしたんだよ? でも他の考えが浮かばなくてさ」


 遊佐アカリとミサキと明日から一緒に暮らすことが決定し、それを打ち明けたところ「ざけんな、バカ弟子」と呟いて、この調子である。


「師匠? 確かに距離感が近くて精神を削がれるのは分かるけど、嫌われてるよりはマシじゃない?」

「……」

「師匠」

「はぁ……で? 遊佐アカリと協力して解決できる問題なのかのう?」


 師匠はため息を挟んで、唐突に話題を立ち上げた。

 どうやら折れてくれたらしい。普段の我儘が目立つが、根はちゃんと大人だということだろう。

 さすが師匠。


「俺がいるから何とかなるとは思うけど。師匠にもなるべく知恵を分けてもらいたいかな」

「断る」

「えー」

「第一になんじゃ? 人に憑りついたレヴナントって。べらぼうにも程があるじゃろ」


 師匠から弱音らしい弱音を聞くのは珍しい。


「奴らが生命体なのか、機械なのかも分かっておらん」

「じゃあ、何もできないじゃん」

「だから言うておろう、解決できる問題なのか、と」


 師匠は呆れながらため息をついた。

 正直、ミサキを助けたい気持ちはどこから来るもなのか。


『レヴナント災害復興支援募金をお願いします。あなたの温かい救いの手を』


 CMのセリフが自然と耳に入ってくる。

 俺の気持ちはただの……偽善ではないのか。

 洗い物の手が止まっていることに気が付き、我に返る。


「拓哉」

「……なに?」

「魔法使いの最大の敵が何かわかるか?」

「んだよ急に」

「いいから答えい」

「……自分。とか言う熱い答えをしておいた方がいい感じ?」

「はぁ……あながち間違っていないのが腹立つのう」


 師匠はため息交じりに呟いた。


「雑念じゃよ」


 言われて記憶が蘇る。


「その話は……」


 俺の文句を聞こうともせずに、師匠は淡々と説教を始めた。


「しっかり『声』を聴かなければ魔法はお主の想いに答えてくれぬぞよ。『声』を聴き、しっかりとそのイメージを掴んで具現化することが大事なのじゃ」

「……」


 師匠の言葉が胸を突き抜けていく。


「今のお主には迷いが見て取れる」


 師匠の勘というやつか。中々鋭い。


「かぁー! 今のセリフ一度言ってみたかったんじゃよ。どうどう? 儂、師匠としてカッコよくない?」


 前言撤回だこの野郎。

 師匠の話が終わったタイミングで食器を拭き終え、財布とスマホだけ持って玄関へ向かった。


「どこへ行くのじゃ」

「雑念を払うための散歩」


 師匠に対する皮肉のつもりだが、絶対に伝わらないだろう。


「儂、バリ堅モナカビッグアイスとダデカミンな」


 伝わっていない証拠にデザートとジュースを注文されてしまった。



 春の夜は、まだ少し肌寒く、冷たいそよ風が服の中に入ってくる。

 マンションから出て隣接する歩道をいくこと数十秒。

 交差点を挟んで対極にあるコンビニが姿を現すのだが、今日は少し遠くまで足を運んでみるのもいいかもしれない。

 そんな気分だった。

 俺はコンビニまでの最短ルートから逸れ、マンションの裏手にある大きな広場に沿って歩き始めた。

 普段から何かしらのイベント会場になっている広場だが、今は夜の静けさに満ちている。

 心なしか車通りも少なく、今日の本厚木の街は不気味なほど静まり返っていた。

 大通りに出ると普段通りの交通量に戻った。

 俺は少し残念な気持ちを抱えつつ、道なりに直進してコンビニを目指した。

 数分でコンビニに到着し、適当なつまみと師匠の注文の品を購入してから足早に退店する。再び来た道を戻るのだが、行きで感じた違和感が再び訪れた。


「……?」


 広い道路が続いている道なのだが、やはり人の気配を全く感じない。

 周囲のビルからも灯りが消え、まるで俺だけがこの世界に取り残されたかのような孤独感があった。

 やがて、当然のように、『それ』は暗闇の中から姿を現す。


「……マジ?」


 身長三メートルは優に超えている紫色の首無し巨人。

 異様に長く太い両腕はゴリラを彷彿とさせる。


「……」


 異形――レヴナントはごく普通に、当たり前のように道に立っていた。


「なんか用か? 道の真ん中にいられると邪魔なんだけど」


 と、ダメ元で話しかけてみたが、頭が無い生物とどう話せばいいのだろうか。

 当然のように応答は無い。

 ただ、丸太のような剛腕を胸の前に構えて『警戒』の意思を示してくれた。

 プロボクサー張りの綺麗な構えに関心しつつ、鼻で笑ってしまった。


「普通の人間より素直で分かりやすいや」


 俺は右腕を前に突き出し、中指と薬指の間でレヴナントの胸部を捉える。

 邪念。

 遊佐アカリの顔が脳裏を過った。


「……アイスが溶けるから手短に行くぞ」


 『声』が脳内に響く。


 ――どんなに願っても君は振り向いてくれない――


 イメージは『奪う』。

 凄まじい破裂音と共にレヴナントの胸部に大きな手形の穴が開き、俺の手には肉塊が収まった。

 レヴナントは膝から崩れ落ち、灰のように崩壊した体は夜風に乗って消え去っていく。

 俺の手のひらの上でも同様に、肉塊が風に乗って消えていく。


「……汚ねぇ」


 亡骸が完全に消失したのを確認し、何事も無かったことにして歩き出す。

 この力があればミサキだけでなく、不特定多数の人間を救うこともできるだろう。

 そうしないのは単なるエゴだ。

 元はと言えば、俺を利用しようと強行手段を取った連中が悪い――と、いつまでも駄々をこねているだけのことなのだ。

 俺がやろうとしていることは確実に、正義ではない。

 ミサキが守ってくれた今を誰にも奪わせないように必死になっているだけだ。

 誰かを守るなんて大層な意志は上辺だけ。

 確信を得た。

 誰かを救えるのは遊佐アカリのような『貫ける』人間なのだ。


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