第28話 かわたれどき

 混乱の原因を作ったくせに、名付け親は偉そうに言った。胴体と生首はまだ仲良くなれないらしく、片手で首を押さえている。そういえば首を痛めているとは言っていた。

 ギブは躊躇ってから、マルメイソンを網から出してくれた。

「大魔女の方が位が上だからな」

 さっきまで、上司命令かどうかで生首狩り側についていたが、一貫した態度だ。

「魔女ミハを捕まえといておくれ。あたしはフィルフィナントを捕まえてくるから」

 誰のことか分からないマルメイソンに、ギブが、俺の姪だよ、さっきお嬢さんがくっついてきたじゃないか、と教えてくれた。

 若い魔女はマルメイソン、騎士は名付け親の手に託されることになった。

 マルメイソンは名付け親とギブと別れて、庭へ出た。高い塔の上まで登って、城を見渡す。いた! 若い魔女はコソコソと、マルメイソンを探して歩いているようだ。まだ大魔女の復活には気がついていない。

 日が暮れかかり、徐々に互いの顔の区別がつかなくなる──マルメイソンは叫んでやった。

「ミハ、貴方のお探しの侵入者は、ここにいるわ!」

 人々がざわめき、若い魔女が驚く。驚いたはずだ。かわたれどき、ギブの姪は人ごみに紛れてしまい、誰が誰だかよく分からない。逃がすものか、いや、ここで待てばすぐ来るはず。

 余裕で浮かぶマルメイソンの背後から、塔に集まった騎士と魔女達が踊りかかった。

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