第28話 かわたれどき
混乱の原因を作ったくせに、名付け親は偉そうに言った。胴体と生首はまだ仲良くなれないらしく、片手で首を押さえている。そういえば首を痛めているとは言っていた。
ギブは躊躇ってから、マルメイソンを網から出してくれた。
「大魔女の方が位が上だからな」
さっきまで、上司命令かどうかで生首狩り側についていたが、一貫した態度だ。
「魔女ミハを捕まえといておくれ。あたしはフィルフィナントを捕まえてくるから」
誰のことか分からないマルメイソンに、ギブが、俺の姪だよ、さっきお嬢さんがくっついてきたじゃないか、と教えてくれた。
若い魔女はマルメイソン、騎士は名付け親の手に託されることになった。
マルメイソンは名付け親とギブと別れて、庭へ出た。高い塔の上まで登って、城を見渡す。いた! 若い魔女はコソコソと、マルメイソンを探して歩いているようだ。まだ大魔女の復活には気がついていない。
日が暮れかかり、徐々に互いの顔の区別がつかなくなる──マルメイソンは叫んでやった。
「ミハ、貴方のお探しの侵入者は、ここにいるわ!」
人々がざわめき、若い魔女が驚く。驚いたはずだ。かわたれどき、ギブの姪は人ごみに紛れてしまい、誰が誰だかよく分からない。逃がすものか、いや、ここで待てばすぐ来るはず。
余裕で浮かぶマルメイソンの背後から、塔に集まった騎士と魔女達が踊りかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます