第26話 故郷

「どうして分かったの?」

「おじさんは魔法を見破る目を持ってるのさ。そういう生まれでね。狼よりはやく走り、爪と牙で薙ぎ倒す、そういう暮らしをしていたんだ。故郷の森が開発され始めてから、一族は人間社会でも働くようになってね」

 日銭を稼げば、パンも食えるし、と騎士は言った。パンが好きなのだ。

「俺達に用事がないなら、地下牢に用があるのかい?」

「特に用はないわ。探し物をしてるだけよ」

「古代の竜の尻尾とか、先帝の聖遺物とか、操りきれなくて途中で閉じ込められた大魔女の胴体とか?」

「それって、この間まで城の相談役をしていた魔女のこと?」

「前半も結構良さそうなこと言ったのに、反応するのはそこなのね」

 でも牢番だから入れてあげられないんだ、ごめんねと、ギブは続けた。

「大魔女を首だけにした犯人は、不器用で問題児なんだけど、アレでも姪と、親戚の青少年でね。まぁ向こうの方が騎士の階級的には上司だから業務命令に逆らえないってのもあるんだけど。だから、王が戻られたら収束すると思うし、もう少し待ってもらえないかな?」

 マルメイソンは静かに浮かんでいたが、にこりと笑った。

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