第19話 置き去り

 ハシバさんを置き去りにして──自分が置き去りにされるようにしたのはマルメイソンだが──マルメイソンは茂みの奥に隠れて進んだ。あちこちに魔女の魔法探知があるが、マルメイソンはそういうものは得意なので、探知の網目を広げたり縮めたりしながらも、それに引っかからずに移動できた。

 器用なので、月夜に降るピスラピスラみたいに小さな光だって、捕まえられる。逃げ足の早いそれを小瓶に入れると、魔女達は高く買ってくれるのだ。

 さておきマルメイソンは、ときどき子猫のふりもしつつ、大きなお城の裏口に転がり込んだ。忙しく働く、首のある人々の、頭上をひょいと飛んでいく。

 みんな、自分の頭より上はなかなか見ないもので、マルメイソンは快適に、石造りの城の天井付近を浮遊した。

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