第13話 流行

 マルメイソンは憤慨した。自分を捕まえた銀色の騎士に向かって、どうしてこんなことをしたの、と問い詰めたが、騎士は首を傾げて答えない。腹が立って、マルメイソンは頭突きした。

 騎士の頭部の鎧が吹き飛んで、すこーんといい音がして木立に消えた。残された騎士には、あるべき首の部分がない。貴方どうしたのそれ、とマルメイソンが問うけれど、騎士は頭を失っているのでうまく考えられないようだ。

 魔女だけじゃなく、他の人達にも流行っているのかしら。生首。

 騎士の間の内輪揉めが原因だと、水晶玉の魔女は言っていたけれど。

 じゃあ貴方、とマルメイソンは騎士に告げた。考えつかないのなら、私についてきてはどう? 何しろ私には頭があるし、貴方には胴体がある。手分けしたら、事態がより良く分かるかもしれない。

 騎士は頭のない体で、マルメイソンを抱えて突っ立っていた。話にならないので、マルメイソンは飛んで逃げた。

 すごい、頑張って! 人魚の喝采は遠く過ぎゆく。

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