アクロバティックな添削について

今回のプレバト俳句では、

夏井先生の芸術的添削が炸裂していましたので、

少し振り返ってみたいと思います。


それは、特別永世名人の梅沢富美男さんの俳句の添削のときでした。

まず、梅沢富美男さんの俳句を見てみましょう。


甘栗の香を行く渋谷交差点


パッと見、「行く」は不要だなと、私は思いました。

もちろん夏井先生も、それを指摘されて、1つ目の添削をされました。


A 渋谷はや甘栗の香の交差点


「はや」は、「早くも」という意味です。

この添削例Aでも、十分に考え抜かれた添削なのですが、

夏井先生は、さらに添削(アレンジ)を行いました。


B 渋谷かの甘栗の香の交差点


この添削例Bは、

ともすると見過ごしてしまいそうな添削ですが、

実は、ものすごい添削だったのです。


どういうことか?

夏井先生は、上5の「はや」を「かの」に変えたのです。

こうすることで、

まず、「かの」と「香の」が脚韻になって、

俳句の韻律が美しくなります。

また、「かの」という、たった2音で、

過去への時空の扉が開かれて、

この俳句の世界にノスタルジーの風が吹いて、

現在の渋谷交差点と過去の渋谷交差点が重層的に

立ち現れてくるわけです。

現在と過去を交錯させる「かの」。

これが今回、私が紹介したかった驚くべき添削です。

原作の俳句や添削例Aと比べてみると、

添削例Bが、いかにアクロバティックな添削であるかが、

よく分かることでしょう。


私も長らく、プレバト俳句を観てきましたが、

添削例Bのような超絶技巧は、

夏井先生が

これまでプレバト俳句で施してきた添削の中でも、

屈指のものだったと思います。

私は、まさに「添削という魔術」を

見せつけられた気がしたのでした。


第2話(追記)は、以上です。





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プレバト俳句(2023年10月19日放送)について 滝口アルファ @971475

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