なんでもない日常……?
「いってきます」
「いってらっしゃい」
学校へ行く準備をする
今朝も変わりなく、早めに起こしてくれて、すでに朝ごはんがあって。
まあ、少し変わったとすれば、蒼の反応が少し……いや、気のせいだな。
「レンくん、おはよ~」
「ああ、おはよ」
少し行くと、変わりなく
この一週間……というか何年も前からずっとだが、ほぼ毎日、登校中には見崎に会う。
「今日も早いね~」
「蒼がいろいろやってくれるからな。今後はずっとこの時間になると思う」
「さすがアオちゃんだよね~」
「本当にな」
「突然レンくんが朝早くに登校してきた日は、ちょっと驚いたな~」
「というか、よくあんな早い時間にいつもの場所にいたよな。俺はなんにも連絡していなかったのに」
俺と見崎は、別に毎朝同じ時間、同じ場所に待ち合わせをしているわけではないのだ。
しかし、毎日普通に登校すればいつも見崎がいる。よって、特に待ち合わせをする必要がないというわけだ。
だからこそ、蒼がきた次の日の朝、あの時間に見崎と会ったのは、今にして思うと不自然だ。
「ん~……まあ~、なんとなくレンくんが早く来る気がして~」
「いやどういうことだよ……」
「つまり~、なんとなくってことかな~」
「……なるほど」
大体、大した答えは返ってこないだろうとは予想はしていたが、案の定だ。見崎はやはりエスパーなのだろう。そういう結論で終わらせておく。
「あ、
同じ制服の人がみな注目しているから、そこにいればすぐにわかる。
あれからというもの、矢鋭咲先輩とはほぼ毎日昼休みを共にする仲となった。改めて思うとどんな仲だよって感じだが、少なくとも俺は友達だと思っている。
そして、毎日、生徒会室には矢鋭咲先輩一人だった。俺と矢鋭咲先輩と見崎の三人だけで昼休みを過ごせると喜ぶべきなのか、矢鋭咲先輩の心配をすべきなのか……
「レオちゃん、おはよ~」
そんな、登校中も一人の矢鋭咲先輩に、躊躇なく駆け寄って声をかけるのが見崎だ。それも、もうすでに学校のそばにいて、生徒がたくさんいるというのにも関わらずだ。
だから俺も、慌てて追いかける。
「
「まあ、学校すぐそこですからね」
「それもそうだな」
矢鋭咲先輩は、一人でいる時とは打って変わって明るい笑顔をみせる。
「私、昨日の小テストで三点とっちゃってさ~」
「三点だと⁉宮下は勉強が苦手なのか?」
「ふふふ。まあね~」
その表情を見てか、はたまた俺たちが話しかけたのを見てか、周りの生徒はみな驚いた顔でこちらを見る。
「よくその点数で笑っていられるものだな……」
「レオちゃんは勉強、すごいできるんだっけ~?」
「ああ、それなりにな」
いつも俺と見崎は生徒会室でしか会わないから、矢鋭咲先輩のこういう表情や、そもそも話しかけられているところは新鮮なのだろう。
「それなりにか~。学年一位のセリフとは思えないね~」
「なんだ、知っていたのか」
しかし、こちらに向けられた視線は驚きだけでなく。
おそらくそれは、一部の三年生が向けている、嫌な視線。
「いや~、まさか『それなりに』なんて言われるとはね~。レオちゃんがそれなりだと、私はなにになっちゃうんだろ~」
「す、すまない!そういうつもりでいったわけでは……」
やはり矢鋭咲先輩にはなにかある。それは、ここ数日で何回も感じている。
だが、だからと言って俺が聞いていい話なのかもわからず、結局なにかをすることは無いのだが。
「……ふふふ。レオちゃん焦っちゃって可愛い~」
「な、宮下お前!私をからかったな⁉」
「まあまあ~。そんなに怒らないで~」
「あ、待て!」
笑いながら門に向かって走る見崎に、それを追いかける顔を赤くした矢鋭咲先輩。
そして、それを遠目に見る俺。
こうして見崎と話している矢鋭咲先輩を見て、特に問題などは無いように感じるまでが、いつものことだったりする。
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