第30話 連戦!!
もう少しでリーアの風紀室がある校舎につく。
すれ違う生徒がまず俺を見る。
『なんだこいつ、なんで上半身裸で出歩いているんだ!?』
と言わんばかりの視線で俺の第三の目が反応しまくっている。
そんな生徒もすれ違ってある程度距離が離れると自然と視線を外すものだ。
だがその中で一つだけ、ずっと俺から視線を切らない生徒が一人だけいる。
冷たい視線だ。
俺が歩いても歩いても、一定の距離のまま俺と同じスピードで移動している。
俺はすでに気づいているわけだが、尾行としては完璧だ。
第三の目以外のセンサーにはそいつの行動が察知できないから俺じゃなければまずつけられているのに気が付かないだろう。
そしてここまで俺を追って来ている理由は一つ。
それが3人目の刺客であることは容易に想像ができた。
ここで2連戦は正直ちょっとキツイな....
さっきの戦いで多少の魔力を使っちゃったし、ダメージもある。
ここは俺が消耗を減らすために、尾行に気が付いてるアドバンテージを取って先に不意打ちして仕留めるしかない。
俺は校舎に入り、尾行してきた生徒との視線が切れた瞬間を狙って入り口にある靴箱の上に飛び乗り、隠れた。
そっと入り口を覗くと、一人の女子生徒が入ってくる。
(コイツか.....)
その子は俺を見失ったものだから慌てて周りをキョロキョロと見渡す。
(フフフ....予想外の展開に焦っているな...
だがその動きは間違いだな...これでは自分が尾行していましたって俺に教えているようなものじゃないか....
気配を消しているから俺が見つかる心配はない。
この靴箱に背を向けた時に背後から攻撃して先手を打ってやる...)
その子はしばらく周りを見て1階に俺がいないことを確認すると階段に向かって足を進め始めた。
―――今だ!!
高台からジャンプし、相手の頭上めがけて手刀を振り下ろす。
当たった!!!
そう思った瞬間に俺の手刀は突然現れた氷によって弾かれた。
「何ッ....!?」
地面に着地し、ヤバイ気配を感じて距離を取る。
さすがに俺の存在に気が付いた彼女はくるりと後ろを向き、俺の方をじっと見た...
銀髪ロングヘアに無表情な表情。
顔はとても綺麗なのだが、表情筋が少しも動かないことから、まるで異国の人形の様だ。
「ジャック・スリル...ターゲット発見...排除します....」
鋭い眼光と魔力を感じる。
これだ...
さっきから俺に向けられていた冷酷な視線....
「私の尾行に気が付いたのは流石...
でも私の方がアナタより強い...」
「ほう...大した自身だな」
「ジャック...あなたが武術を使うタイプの魔術師なのは知っている。
この校舎に入って姿が見えなくなった時、尾行がバレたことはすぐに分かった...
そして何かしらの方法で不意打ちを仕掛けて来るんじゃないかということも予想できた」
!!!......
彼女の周りに薄く白いもやのようなものが見えた。
「≪白銀の鎧≫(アイス・アーマー)この間合いに異物の魔力が入れば、凍って私を自動で守ってくれる...
予想どおり、簡単に釣れた...
アナタの攻撃は私には届かないわ...」
なるほどね...
魔術特化型の魔術師....か...
やりづらい相手だ...
「私はロロン・ハイグリッド...裏では『氷結のヒットマン』と呼ばれているわ...
プロの殺し屋として確実に対象を排除する!!」
ロロンの足元に氷の足場が広がり始める...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます