第29話 2人目の刺客

「砕けろ!!」



両手で持ち上げたポクリを壁に投げつける。


衝撃で壁面のコンクリートが剥がれる。



「うおおおお!」



この程度では倒れないのか...


再び立ち上がろうとするポクリ。



だが俺はその隙を見逃さなかった。


ポクリに向かって走り、的の大きいそのお腹に渾身のドロップキックを放つ。



「うげぇ!!」



壁とドロップキックに挟まれたポクリはたまらず断末魔の悲鳴を上げた。



手ごたえあり。


そのままポクリはうつぶせに倒れ、動かなくなった。




「へへっ...やったぜ、ざまーみろ!」



一人で高らかに勝利のポーズをとる。


それにしても何だったんだこいつは....



明らかに異常ともとれる行動にそれなりの戦闘力...





................ん?



ふとそこに一枚の紙が落ちているのに気づいた。


これは...



呪いの契約書だ...まさかっ...



中を見るとそれは予想した通りの内容が書かれてあった。


俺とリーアの騎士の契約書を破棄すればお菓子の詰め合わせ1か月分を贈呈だと!?...


ってことはポクリは俺の刺客だったのか!!



あぶないあぶない....



俺の第三の目が反応しなかったということはここでポクリと鉢合わせたのは偶然だったのだろう。


たしかによくよく考えたらこんな無差別のような突発的な行動は無所属の生徒であれば納得できる。


どこかのプリンセス候補の騎士なら突然攻撃なんて国際問題に発展しかねないので普通はしないからだ。



仮にここに来たのが俺じゃなかったとしてもこいつはお菓子を盗む生徒を再起不能にしていたんだろうな...



さて、俺の刺客と分かったのなら今からポクリを尋問するしかないな...



「そう思うだろ?ポクリ...」



俺の背後に気づかれないように移動していたポクリに後ろ向きで話しかける。



「ジャック・スリル...思い出した。

ローブ姿の女から渡された契約書に書いてあった!お前だったのか!!

見つける手間が省けたぞ!

僕を倒したと思って油断したな!完全に背後を取ったぞ!!

くらえっ!ステーキデスロック!!」



そう言いながら掴みかかるポクリをひらりと躱し、カウンターでアッパーを入れた。



「油断してねーよ...お前が俺を見たその瞬間から、お前が気絶していないことも、俺の背後に向かって移動していることも、攻撃してくることも、全部分かっていたんだからなぁ!」


膝からポクリは崩れ落ちた。


燃え続けたポクリの体の周りの炎も徐々に鎮火していき、やがて完全に消える。



魔力の反応も消え、最後の力を振り絞って立ち上がったポクリがここでこと切れたのが分かった。




その後俺は上半身裸の状態で、リーアのところまで帰ることになった。


道中周りの生徒からの視線が痛い...



でも、上半身の制服は丸焦げになってしまったが、ズボンの方は無事でよかった...



そっちまで焼けていたらチ〇コ出しながら校内を歩く変質者になっていただろうから。


まあ、今でも傍から見れば十分変質者と言えば変質者の恰好なのだが.....

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