第26話 誘い
リーアには心当たりあり...か...
とはいえ俺にもあるんだよなぁ...心当たりというものが...
できることなら今は俺もその話したくはない。
でもリーアの話を聞いてしまったら俺も話さなければならないと思う。
そうじゃないとフェアじゃないから...
「どこいくのよ?ジャック...」
俺は席を立ち、教室から出ようとした。
「散歩」
「今の話の流れでよく外を歩く気になるわね!襲われたらどうするつもりなのよ...」
「そうして欲しいと思っての行動だよ..」
「ジャックがここを出て行ったら誰が私のことを守るのよ...」
守るって...
リーアの場合襲われても問題ないだろ。
フォルトゥナの加護は戦闘向きじゃないとはいえ、神の加護で魔力値がカンストしているのがプリンセス候補の特徴だ。
だからリーアを真正面から襲うような一般生徒はそうそういないだろう。
それに...
「標的はリーアじゃない。あくまで俺だ...」
「どうしてそんなことが分かるのよ!」
「昨日戦ったロイズは自分の姿を消す能力を持った魔術師だった。
そして最初リーアはそのことを知らなかった。
交戦中、不意打ちでリーアを人質にとって交渉することだってできたはずだ。
しかし、ロイズはそれをしなかった。いや、しようともしなかったんだ。
視線はずっと俺の方を向いていて、リーアには目もくれなかった。
俺はそこに違和感を感じるんだよ。
それを確かめに行ってくる」
「確かめるって...どうやって...」
「俺とリーアが結んだ騎士の契約書はまだこの部屋にある。学院側には受理されていないだろう?俺が単独行動をし始めたら...
さて、刺客はこの部屋に来て直接契約書を破棄しに来るのか、それとも直接俺を叩きに来るのか。
どっちだろうな...」
そう言って部屋を出た。
後ろから「あっ、コラ!!」と聞こえたが気のせいだろう。
―――――――――――――
校舎の外に出て早5分。
適当に歩いているが、俺の方へ向いている視線は無い。
そういえば呼び方に困るなこの体質は。
俺のこの他人の視線を察知する体質。これを〈第三の目〉サード・アイと名付けよう。
第1の目は視覚、第2の目は嗅覚や聴覚、そして第3の目は直感や勘だと世間的には言うらしい。
そして俺のこの〈第3の目〉にはまだ何かが引っかかる感じはしない。
もう少し人通りの少ないところを歩くか...
何気なく体育館裏に行く。
そこには誰も人はいなかった。
さあ、俺を襲うならうってつけの場所だぞ!来るなら来い!!
そう思っているときだった。
「.....なんだこりゃ?」
とあるお菓子の山を発見する。
体育館の軒下の隅っこに、何個だろう?20個くらい飴やらチョコやらガムやらが積み重なっているのだ。
なんでこんなところに....
いや、別に校内には売店とかもあるし、お菓子の持ち込みが規制されているとかそういうことではないのだが、なんでこんなところに大量のお菓子があるのか?
ということが疑問点なのだ。
試しに1個飴の小袋を手に取る。
一つくらい食べてもバレんだろ...
そんな出来心で俺はそれを口の中にほおり込んだ。
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