第25話 便利屋
「何人もって...
その契約書は依頼主本人にもリスクがあるんでしょう?そんなにばら撒けるものじゃないはずよ!」
「厄災が発生するのは報酬が支払われないかった場合のみ。
仮にこれが10人に配られたとしても依頼を達成できるのは一人だけ。
そいつにだけ報酬を支払えばいいわけだから俺が狩られえた時点で残りの契約書はただの紙切れになる...」
「ええっ?そしたら仮に100人にそれが渡っていたら...」
「これから100人の生徒に襲撃されることになるな...」
「そんな....」
誰がどういった目的でこんなことを考えているのかは分からないが、これを配っている大元を潰さないと俺は常にいつ襲われるか分からない恐怖と戦いながら過ごしていかないといけないわけだ。
「とはいえ、俺の予想では多くてもせいぜい5人くらいに配られているのが現実的だろうな...」
「それはどうして?」
「ここに報酬が10万とあるだろ?
でもこの契約書自体そもそも10万以上は軽くする代物でね...
俺程度のランクの生徒を倒すのに何人もの生徒にこれを配って回るなんて相当コスパが悪いじゃないか...」
「たしかに...」
「それだけじゃないぞ...昨日のロイズとかいう生徒、調べてみたら案の定無所属だった」
「無所属ですって!?」
驚く表情のリーアを見ながら話を続ける。
「よくある手だよ。在学中の9割の生徒がどこかしらのプリンセス候補の配下に付いている。その方がプリンセス候補から与えられる報酬などの恩恵があったり、卒業後に実績に応じたポストが確約されているからそのほうがメリットの方が大きいわけだが、中にはあえて無所属で過ごす生徒がいるんだ。
理由は単純。無所属ならこういった仕事が手に入りやすいからだよ。
例えば今回みたいにすでに契約が決まった騎士を闇討ちするなんて...
そのプリンセス、いや、国自体に喧嘩売っているようなもんだ。
もしその闇討ちする生徒がどこかの国の騎士だったら、それが原因で戦争に繋がりかねないだろう?
だからこういう悪い仕事をこなしてくれる何でも屋に依頼して自分たちの手は汚さないってことになっているんだろうな。
依頼主が分からなくてもこの契約書を使えば簡単にその無所属の連中を動かせるってわけだ...」
「そんな...一体誰がこんなことを....」
「さあな...
だがこれだけは言える。
この学院に在学しているプリンセス候補の誰かだ.....
心当たりは無いか?リーア...」
リーアは険しい表情をし、冷や汗をかいた...
「まさか...ね...」
なにか心当たりがあるようだ...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます