第24話 自由鳳凰学院

「うーん...」



俺はソファーの上で横になりながら、昨日ロイズから分捕った契約書を眺め続けていた。



「あの...ジャック?」



「ん?」



「放課後になって約束通り私の部屋(風紀委員の)まで来てくれたのは良いんだけど、そろそろ仕事をしてくれないかしら?」



「仕事?」



「そうよ!

....まあ、今のところジャックにお願いする事務作業は無いけど、例えば校内の見回りするとか...

放課後はアナタみたいに校則を破る生徒が多い時間帯だし、それを取り締まって少しでもポイントを稼がないと...

他の風紀委員のプリンセス候補と差をどんどん開かれてしまうでしょ!」



そんな説明をしてくるリーアを一瞥し、



「今日はパス...」


そう言った。



「パスって!初日からそんな堂々とサボる奴があるか!!働いてきなさい!これは命令よ!!!」



全く...相変わらず短気なお姫様だ。



「いいか?俺一人が今からちまちまポイントを溜めても、他のプリンセスのやつらと比べて人数の差で負けているのに勝負になるわけないだろ!」



「そりゃそうだけど...だからって何もしないわけにもいかないじゃない!」



この学院生活でプリンセス候補が行う目的はただ一つ。


ポイントを稼ぐこと。



この俺たちの在学している自由鳳凰学院はそう生徒数1984名うちプリンセス候補生は12名。


全世界のプリンセス候補と厳正なる審査で魔術師のエリートたちを集めた名門だ。



普通の学校と違って15~25歳までの生徒が10年間この学院で魔術を学びながら指定のプリンセス候補と共に学院内で責務をこなす必要がある。



こんな俺でもこの学院に入学できているので一応エリート集団の仲間入りではあるのだ。




で、学院在学中は生徒それぞれにポイントが課せられる。


たとえば、テストの成績が良かった時、委員会の仕事で実績を上げた時、校内イベントでトップの成績を出した時など、基本的に良い成績を収めれば収めるほどポイントは加算され、それが個人の成績であり、さらにプリンセス候補生とその契約している騎士(一般生徒)の合計点がそのプリンセスの強さの指標となるのだ。



つまり、リーアの騎士は俺一人なのだから当然リーアの成績は12人のプリンセス候補生の中でぶっちぎりの最下位だろう。



だから、リーア的には少しでも多くポイントを稼いでほしいという気持ちも分からなくはない。



だが....



「そんなものの前にまず重要なことがあるだろう」



俺がリーアにそう言うと、不機嫌そうに



「なによ、風紀委員の仕事より重要なことって...」




............



「これだよ」



そう言って昨日の契約書をまたリーアに見せた。



「まだ持っていたの?それ。早く捨てたら?ほかの生徒がそれを拾ったらまた昨日みたいにお金に目がくらんだ生徒が襲ってくるかもしれないし...」



「落とさなくてもまた襲ってくるだろうよ...」




「え?昨日の子はそうならないようにしっかり釘を刺しておいたでしょ?」




「ああ、昨日のやつはな...


問題は...



これと同じモノが何人もの生徒に配られている可能性があるということだ!!」」

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