第23話 種明かし②
「まあ、今言ったのは一つ目の能力だな。
視線を読む力はもう一つあるんだ。
それがは相手の視線が俺に向けられていた場合の話で、結論から言うと、俺は他人に視線を向けられた時、その見られている方向、大体の位置、そして見られている体の部位が分かるんだ。
たとえそれが死角から見られていたとしてもな。
だから俺はロイズの位置がなんとなく分かっていた。
姿が見えない相手でも、方向、距離、狙いの3つが分かればまるで見えているかのように俺も振る舞うことができたというわけだな」
「そうなんだ...それはジャックの固有魔術...ということでいいのかしら?」
「固有魔術ではないな。この能力はオートで感知するものだし、それを使うのに魔力も必要としないから。
どちらかというと体質と呼ぶのにふさわしいのかも」
俺のこの体質についてリーアにすべて話した。
本当は話すつもりは無かった。
これをもし他の魔術師に知られたら、もし戦闘になった時に俺の体質を織り込んだ前提で対策をしてくるからだ。
俺が不利になるからなるべく他人に話したくはないのだが....
なんでこうもあっさり喋っちゃったのかな~俺は....
「..........」
「ん?どうした??」
俺の話を聞いてから黙り込むリーア。
頭の中で何かを考えているように難しい顔をしている。
「ちょっとまって!じゃあ、あの時の話はどういうことなの?」
「あの時?」
そう言うとリーアの眉間にしわが寄り、威嚇した猫のような表情になる。
「私と昨日ポーカーした時の話よ!あのときカードをすり替えしたのも、その体質を使ってってことなの??」
「.........はて、なんのことやら」
「とぼけないでよ!!もうここまで来たんなら全部白状しなさい!!」
「分かった分かったから...落ち着いてくれ、全く...」
フッーフッーと鼻息が荒くなる。
あんまりからかいすぎて不機嫌になられても困るからな。
これくらいにしておくか...
「どこから話したものか、まず大前提として俺はカードのすり替えをしていたわけだが...」
「やっぱり!!この野郎!詐欺師!!」
「もうそこはいいだろ...
で、俺がカードを入れ替えるのに必要な時間は大体0.3秒くらい。強化魔法で腕と目を一瞬だけ強化すればそれくらいのスピードで入れ替えることができる」
「0.3秒!?」
「ああ、今度見せても良いが、仮にすり替えの瞬間を見ていたとしても初見で気づくことは難しいだろうな。
それに加えて俺の体質を組み合わせる。俺はその部屋にいた全員の視線の向きが分かっていた。あれだけ多くの人数がいても、機会を待てば全員が俺の視線を切る瞬間が必ず来る。その瞬間にすり替えをしたんだよ。
3戦目はリーアが机に置いたカードから。
4戦目はすでに終わったカードの山から抜き取った」
「なるほどね。そんなに素早く入れ替えているんだったら気づかないわけだわ」
「俺はもう全部話しただろ今度はリーア、君の番だ」
「え?」
「俺はまだ聞いてないぞ。これから仕えるプリンセス候補。その能力、神の加護についてのことをな」
はっとしたように口を覆うリーア。
「あっ!そっちのことね....分かった私も話すわ」
こうして俺はリーアから神の加護フォルトゥナの話を聞き、リーアを豪邸へ送り届けたのだった。
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