第18話 謎の刺客
「で?用、とは一体なんだ?」
突きつけた拳を引き、ロイズと名乗る少女と対面に向き合う。
それを見てロイズは構える。
「ちょっとした噂になっているのよ。あの不人気のリーア姫がとある生徒と契約を結ぶってね...」
「それは俺のことを言っているのか?
たしかに、リーアとの本契約は今さっき済ませたばかりだが....
でもそれがどうした?俺がどのプリンセス候補と契約を結ぼうが、それとお前と一体どんな関係がある?」
「あちゃーー
もう契約結んじゃった後か...来るのが少し遅かったなぁ...
まあいっか....たしかに、私からしてみればそんなものは関係ないね」
魔力の波動を感じる。
今、この状況でロイズが魔術を放とうとしているのが分かる。
つまり...攻撃が来る....!!
「何っ!!....」
ロイズの体の色が徐々に薄くなっていく....
数秒後には体が透けて後ろにある建物がはっきりと見えてきて...
その後ロイズの体は目視で視認できなくなった。
そして声だけが聞こえる。
「でもそれをよく思っていない人間がこの学院にはいるみたいでねぇ...
なんとか、その契約をするのをやめるよう説得するように頼まれたのよね」
「なんだと?一体誰に頼まれた??」
「さあ?私も知らないわよ。ただ、今朝にこんな契約書を渡されたのよ。
もちろん本物よ。
この依頼を完遂すれば翌日に私の靴箱の中に10万円入っているそうなの。
誰が、どういった意図で私にこれを渡したのかしらないけどさあ...
私、今お金に凄く困っていて、この10万円欲しいのよね.....
だからお願いがあるんだけどさぁ...そのさっき結んだとかいう騎士の契約書、破棄してきてくれないかなぁ......」
どういうことだ?
俺がリーアと契約を結ぶ約束をしたのは昨日の話だぞ。
あの場でそれを知った生徒は何人もいたが、事前にリーアが賭場に来ることを知っていたのは俺だけだ。
他の生徒は純粋に賭けを楽しんでいただけ。
昨日の今日で俺とリーアの契約を破棄させようとする理由がない。
であれば、リーア絡みで何かが起きているということなのか??
..........
分からない。
今の状況だけでは情報が不足している。
とりあえず、今はこの状況を何とかしなければ....
「ちなみになんだが、俺がその条件を飲んだら穏便に君は帰ってくれるのかな?」
「ええ、そうね....」
「.....もし...
もし俺が断ったら、その時はどうするつもりだ...?」
―――シャッ...
体の右側に鋭い風が吹く。
瞬時に服と肉が裂け、血が噴き出した。
「痛ッ...」
思わず切られた肩を手で覆う。
「断るっていうなら、首を縦に振るまで全身を切り刻むだけよ....」
不気味な声が再び俺の背後からするのだった。
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