第1章 刺客からの襲撃
第16話 本契約
「これは一体どういうことよジャック!!」
「えっ?」
リーア姫に呼ばれて空き教室に来たのだが、部屋に入るなりいきなり俺は彼女に𠮟責を受けた。
機嫌が悪いのは見れば明らかなのだが...なんだろう....全然怖くない。
クリッとした小動物の様な目にそれに似合ったに小さい体格と茶髪に2本のアホ毛。
服装は他のプリンセスと同じで豪勢な身なりだが、容姿は美しい、というよりはかわいらしい方面で整っている。
なんというか…
やはり他のプリンセス候補と比べてオーラが一回り小さいのだ。
「ははは(笑)姫様はいつも怒ってばっかりだなww」
―――ボフッ
「痛っ!」
小さい拳が俺のお腹にめり込む。
まあ、実際はそんなに痛くはなかったが....
「何笑っているのよ!話が違うじゃない!!どうしてだれも集合時間に来ないのよ!」
「んーー?俺は来ただろ?」
「アンタも15分遅刻よ!!
まあ確かに来てはくれたけど...で?ほかの人たちは?ジャック、あなたの友達なんでしょう?」
「ああ、そのことか....悪いな.....全員すでに他のプリンセスと契約していたみたいでな...俺しかフリーの生徒はいなかった(笑)」
「はぁ?また騙した!!ズル!!17人配下に付くって約束したのに!私勝負に勝ったのに!!」
可愛らしくぴょんぴょん跳ねながらさらに怒るお姫様。
なんだかウサギみたいだ。
「まあまあ、その分俺が身を粉にして働いてやるから。機嫌治してくれよ」
「........まあ、とりあえず...納得いかないけどそれでいいわよ...
じゃあはい...」
そういって1枚の紙を渡される。
契約書だ。
これに名前を書いて学院に提出すれば登録完了。
特定の姫の騎士として在学中、学院側に認められる。
そこらへんは結構アナログなのだ。
「ほいっ、書いたぞ....」
それをリーアに返す。
俺のサインを見てむふーッと鼻から息を吐いた。
まあ、なんか嬉しそうだな...
あの時はあんなに泣いて騒いでいたのに.....
本当に騎士になるなら誰でもいいんだな....
全く...哀れな姫だ......
「ところで、姫。俺は一体これから何をすればいいんだ?今後の方針を聞いても?」
「リーア」
「?」
「リーア・グッド・ラック名前教えたでしょ?私のことはリーアって呼んで。姫とか、プリンセスとか、風紀委員とか、そんな役職で呼ぶのはやめて...」
「しかし...」
「お願い...私の名前、呼んでくれる人あんまりいないから....」
この子もワケありか.....
「わかった。これからよろしくな....リーア」
そうして俺は彼女と握手した。
これから世話になる。
ほんとに本当に、俺の目的のためにも....
ギューー
「ん?なんかちょっと握る手強くない?ちょっと痛いんだけど??」
機嫌のよさそうだった顔から一変、彼女はまた眉間にしわを寄せて、背伸びをしながら俺に顔を近づけた。
「契約した後だから言うけど...私はあのポーカー、勝ったなんて思っていないわよ!!今度暇なときにリベンジするから。その時はボコボコにしてあげるから覚悟しなさい!!」
プッ――
本当に、負けず嫌いなお姫様だ!!
「いいよ!でも今度は吐くなよ!」
「うるさい!!そのことは忘れろーー!!!」
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