第14話 4枚OPEN

す、す、す、スペードの10???




えっえっ嘘???




嘘でしょう??





そんなハズ....そんな筈ない.....




たまたまよ、たまたま....





そりゃ♤の10を引く確率自体は残った山札から計算して1/42まあ引けない確率ではない...




次のカードは違う数字が出る...絶対そうだ....




2枚目がめくられる....



そのカードは....






♤J





そんな....えっえっえっ?





おかしい、こんなの....










3枚目....











♤Q





「はあっはあっはあっ.....」




心臓がキュッと締め付けられる。

自分で自分の心音が聞こえる。



心拍数が上がり、血圧が高くなるのを感じる。



体中が熱くなり、変な汗が出る。




偶然....なの??



いや、ここまでくるともうこれはそんなんじゃない!




やってる!



この男....確実に....





「どうしたよ風紀委員?顔色が悪いぞ?」




ジャックはそう言いながら満面の笑みでほほ笑んだ。





4枚目.....







♤K






う.....うううううっ............





「おっ、凄いな...これはひょっとすると...あるかもしれないぞ....」




食道から何かが込みあががってくる。



唾を何度も何度も飲んで、それを胃に戻そうとする。







嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ.........




吐き気と眩暈がする。





だっておかしいよ....





♠のロイヤルストレートフラッシュを引く確率は1/2598960で...


いや、もうこれは確率とかそんな次元の話じゃない。





ジャックの手が最後のカードに触れる。




めくらなくても私にはそのカードが何か分かる。




ここまで♤の10、J、Q、Kと綺麗に揃ってきているのだあれじゃないはずが無い...



私はとっさにジャックの右手首を強く握っていた。




「やめて....やめてよ.....」




「あ?....」




卓上に水滴が落ちる。




「うっ....うううっ....おわり.....もう...おわりよっ!!!」




そんな私を一瞥し、彼は無慈悲に




「終わりって何が?そんな顔して泣いてもだめだろ....今更この勝負を無かったことにはできない....」




「わがっているのよっ...アナタが何かイカサマをしたってことはっ!!こんなのおかしい!!....おかしいよ.........」





..............




しばしの沈黙が流れる....




我ながら大人げなく泣きじゃくっているものだ。


私は今、どんなに酷い顔をしているのだろう....




そんな私にクールな装いのジャックも少し参っているようだった。

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