第13話 運以外ありえない!!

「どうしたのよジャック、私はチェンジしないと宣言したわ。あなたはどうなの?それとも何?またさっきみたいに長々と長考する気?」



ジャックは少し考えて私に目を合わせた。



鋭い眼光。


あまりの気迫に押し込まれそうになる。


余裕そうに半笑いでふざけていた男が、こんなオーラを出せるのか。



もしかして、まだ勝負を諦めていない?....



それもそうか...


アイツは私の手を知らないんだからカードのチェンジ次第では勝てると思っているんだ。



そんな怖い顔をしたって結果は変わらない。


結局はカードを山札からカードを引いてそれをめくる。


ただそれだけ。



運って気合とか頑張るとかそういうのでどうこうできるものではない!



偶然、たまたま、なんとなくで、


それはふわっと風が吹いた後に転がる落ち葉のように、どう動くか誰にも読めない。


たとえそれが自分自身であっても。



さあ、やってみなさいジャック!


好きなだけカードをチェンジするといいわ!!






「なあ、風紀委員よ!さっきお前は運も実力の内だと言ったな」




「...?言ったけどそれが何?」




「いやべつに...ただ俺は、あまり自分の運というものを信用しないようにしているんだ...」




「....うん?」




「俺は昔から...いや、生まれた時から運というものに見放されていてね....自分の不幸を呪い続けてきたよ。だからなのかな...俺はこれまで何度も勝負所という場面に遭遇したことはあるが、運というものが助けてくれたことは一度もなかったよ」




「....なによそれ?ただの不幸自慢?まあなんでもいいわよ。でも今回のこの勝負に限っては、自分の運に頼るしかないんじゃない?だって、今からアナタのできることは0~5の数字を宣言して、そのカードをめくって、私の手と勝負するだけなんだから」




「そうだな..そのとおりだ。だが一つ確かなことがある」




?????





「俺はここぞという場面で運に味方してもらったことは無い。だがそれでもなお、俺は勝ち続けてきた。その実績があるということだ!おいメイド、チェンジだ!!」




そう言ってジャックはレーンに向かって5枚すべての手札を突き出した...




「....かしこまりました」



レーンはルール通り山札の上から5枚をジャックのもとにカードをスライドさせる。







「じゃあ...勝負ね...」





「そうだな....」





ジャックはカードを伏せたままそう言った。



「....そのカードは見なくていいのかしら?ずっとそのままだけど...」



「なぜ?どうせ後は開くだけだろう?俺が今見ても見なくても結果は変わらないと思うが...?」




「.......そう....まあいいわ、別に...じゃあ私から行くわよ。私の手はロイヤルストレートフラッシュ!さあ、次はジャック!あなたの番、早く見せなさい!今配られたその手を!!」





「♡のロイヤルストレートフラッシュ...?」



「そうよ!早くめくりなさい!この勝負を終わらせてあげるわ!まあさすがにこの手より...」






「なら俺が♤のロイヤルストレートフラッシュを出せれば勝ちだな」



そう言ってジャックは右端のカードを一枚めくりだす。





「いやいや何言ってんのよ....さすがにそれはないな


い.....っっっ!!」




裏返ったそのカード、


それは.............















♤の10だった.....

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