第11話 証拠など無い!
「とにかく、♢Kを1戦目に使ったのは事実。私はそれを見たんだ!
だからそのフォーカードはイカサマよ!絶対にありえないことなの!」
「....で、その証拠は?」
「証拠って...だから私が見たって言ってるでしょ!私、記憶力には自信があるのよ!」
「ハンッ―――」
噴き出したように笑うジャック。
「そんな見ただとか記憶力がどうとか、そんな曖昧なものが証拠になるかよ!例えばこの勝負を最初からビデオで録画していてその動画を出すとか、仮に俺がイカサマをしていてスリ替えをしたならその現場を現行犯で押さえるとか。
それくらいのことをして初めて証拠と言えるだろうが!
さっきから黙って聞いていればたしか手札がこれだったはず...とか自分が見たんだからそれが証拠だとか....それがありだったら俺だってなんとでも言えちゃうね。
俺のはこの試合で一度も♢Kは見ていないし、ましてや使ってなんかいない。しっかり覚えているんだからな!たしか俺の手札は♤5♡5♤A♤2♢Jだったぞ!そうだ、思い出した....
ん~~...それだけじゃ無いぞ....俺はあのとき5のワンペアだったが風紀委員の手はたしかブタだったんじゃないかなぁ~....うん、きっとそうだ!そんな感じだった気がするぞ、ってことは1戦目と3戦目、そしてこの4戦目が俺の勝ちだから...
やった~~!!俺の勝ちだぜ!!」
「...............は?」
開いた口がふさがらない。
何をメチャクチャなことを言っているんだ?こいつは.......
「.....っとまあ、冗談はこれくらいにして...安心してくれ。
1戦目は風紀委員がちゃんと勝っている。そのことはしっかり覚えているさ...」
「なにをそんなっ....当たり前のこと言わないでよ!!」
「でもこれで分かっただろう。人の記憶は曖昧なものなんだ。それをいちいち蒸し返してゲームを進行していたら全てのギャンブルが成り立たなくなる。やったのやってないのの水掛け論になってしまうわけだ。そうならないためにはいつどこで、誰が見ても分かるくらいの証拠が大事。記憶のようにふわっとしたものでは誰も信じないんだよ。
今俺の目の前にはKのフォーカードがあって君の手にはフルハウスがある。それがこの勝負のすべてだ。もしそれを覆したかったらそれなりの証拠を出してみろ。
それが出来ないなら....
この勝負は俺の勝ちだ。分かったな?風紀委員.....」
「ぐっ......」
ふざけている....そんなの許されない.....
絶対に♧♢Kは初戦に使われている。私は知っているんだ。
ジャックも....記憶が無いとか言ってたけど。
さっき私の初戦の手札をしっかり言い当てていた。
人の手を覚えられるやつが自分の手を覚えていないはずが無い。
この男....よくもぬけぬけと........
でもジャックの言うとおり、決定的な証拠が無い。
3戦目の時もそうだったが、どんな方法でスリ替えをしたのか。
その方法も分からない.....
何か特殊な魔術か魔具を使用しているのか...?
でも、魔力の反応は一切感じられなかった.......
「くっ......分かったわよっ!!!いいわよっ!!アンタの勝ちで!!」
「まあ、当然だな(笑)」
クソッ......
もう本当に、絶対、絶っっったい許さない!!!!
だったらいいわよ!!次の試合、本気の本気で潰してやるんだから!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます