第9話 イカサマ発見!
「ふー...危ない危ない....風紀委員も初手からフルハウスとはやるな。だが、ほんの少しだけ俺の方に運が回っていたようだな!」
そう言いながらしれっと机の上のカードを片付け始める。
その腕を私は力強く鷲掴みにした。
「なにが運よ!!ふざけないで!!!」
ギャラリーがどよめく中、ジャックは掴まれた右手首を冷静に見つめ、すぐに私の目を見た。
「ん?どうした?まさかとは思うが、すでに決着の着いた勝負を暴力で覆そうっていう考えじゃないだろうね?」
そのセリフに頭に血が上る。
この男はどこまでも惚け通す気でいるのだ。
「これはイカサマよ!証拠だってあるわ!!そのカードをテーブルの上に広げなさい!!早く!!!」
「....分かった」
ジャックは先ほどのフォーカードを部屋にいるもの全員に見えるように広げた。
「ただのフォーカードだ。それ以上でもそれ以下でもない。特におかしな点は無いと思うがね」
「大ありよ!
この♧のKは1戦目に私が交換で使ったカードよ!そしてその♢のKも!1戦目のアナタの手札の中にあったカードだったはず!!
一度使ったカードはその試合中には使えないルールだったわね!ならジャック、あなたがKのフォーカードを作るのはおかしな話だわ!!
多分またスリ替えたんでしょう!どうやったかは分からないけど、使い終わったそのカードの山から♧Kと♢Kのカードを抜き取って自分の手札に加えた!!
だからそのフォーカードは無効!
この試合はあなたの不正行為で私の勝ちよ!ジャック!!」
掴んだ、このゴト師のしっぽを!
私こう見えて頭もいいのよ。
初戦から使ったカードを記憶することくらい簡単にできることなのよ!
どう?私の完全勝利!
本当は私の豪運だけでねじ伏せる予定だったけど、そっちが卑怯なことをしてくるならしょうがないわ、イカサマの現場を押さえればいいだけだもの。
私にそんな小細工仕掛けてきても通用しないのよ!!
「..........なことか?」
ジャックが小声で何かを言っている。
「....ん?なにかしら?負け惜しみなら...」
「何を言い出すかと思ったらそんなことかと言っているんだ!」
「っ...そ、そんなことって何よ!だってアナタが1戦目に使ったカードを使っていることは明白じゃない!おそらく初戦のあと2枚のKをずっと隠し持っていたか、さっきの試合でスリ替えて....」
「そういうことを言っているんじゃないんだよ風紀委員」
....またコイツ....
勝ち誇ったように彼は頬の口角を上げた。
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