第7話 イカサマ!?
「私の手は、フルハウスよ!!」
そう言って私は自分の手札を捲り、デーブルに叩きつける。
さあ、どうなの!?
あなたの手は一体……
「ほう!奇遇だな、…俺もフルハウスだ…」
え?、そんなまさかっ!
彼の手は…一体……
っっっ……!?!?
ジャックの手は……
6♢6♧7♤7♢7♧のフルハウス。
嘘っ、そんなっ…馬鹿な!
だって、その手は…
「リーア様!それ…」
レーンは私の広げたカードを見て震えている。
視線を手元に落とすと…
えっ......
バラバラだ!
さっき私が見たものと全然違うカードが並べてある。
「風紀委員の手はブタか。ならこの勝負は俺の勝ちだな」
そう言って手札のトランプを片付け始める。
「なんだこれは!ふ…ふ…ふざけるな!!」
「ん?」
「アナタの今開けたフルハウスは私の手札だったものだ!!いつやったかわからないけど…すり替えたな!これはイカサマよ!!」
「イカサマ?何を根拠に?」
「だ・か・ら!その手はさっき私が持っていたものなの!!それを今あなたが持っているなんて…そんなの誰が見たってイカサマに決まってるじゃないの!!」
「ほう…なるほど…」
そう言うとジャックはまわりのギャラリーに声をかける。
「こいつの手がフルハウスだったことを知ってるやつはいるか?」
………
返事はない。
当然だ。
こいつ等は誰一人私の後ろに立っておらず、私の手を覗いていないのだから。
「誰も知らないってよ」
「で…でも…」
「そもそもどうして風紀委員の手札を俺が持っていることになっているんだ?カードはずっと自分で握っていただろう?どうやって手札を入れ替えるっていうんだ?そんなにお前はマヌケなのか?」
「う、うう…だって....
あっ、そ、そうだ!私が机にトランプを置いたときだ!あの時に私の手からカードが離れた!!その隙を狙ってあなたは一瞬で私のカードを入れ替えたのよ!!そのチャンスを待つためにずっと長考しているフリをしてその隙を待っていたのよ!そうなんでしょう?」
「はぁーーー」
ジャックは呆れたように大きなため息をつく。
「で?その現場を風紀委員は見たのか?」
「見てないわよ!でも、もうそうとしか考えられないじゃない!!」
「証拠がないんじゃあただの言いがかりだな。そういうのは良くないと思うぞ。こっちは早々に2連敗していて文句一つ言わないのにたった1回負けたくらいでそんな無茶苦茶な言いがかりつけてくるなんてなぁ…」
「ち、違っ…そう言うんじゃあ…」
周りから笑い声が聞こえる。
この状況がおかしいと思っているのは…
全てのことに気がついている私だけなんだ…
傍から見れば、私は結果の着いた勝負にイチャモンをつけているだけの頭のおかしい女。
「…っ……、もういいっ!!」
私は怒りを抑えてふたたび席についた。
カードは確かに入れ替わっていた。
当の本人がそのことに気がついていないはずが無い。
この野郎、私の手が良いと分かった途端にこんな姑息な手に出るなんて…
……許せない。
絶対に許さない…
それならいいわよ!!
この勝負はくれてやるわ!!
でも、次の勝負では絶対にカードを離さない。
微塵も油断しないわ!!
普通にやればフォルトゥナの加護がある私が勝つのは決まっているのだから!!
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