第4話 ルール決め

「分かったわ。ポーカーで勝負よ。ただし、ルールは普通のポーカーじゃない」



「…どういうことだ?」



ジャックは眉をひそめる。



「今から始めるポーカーは降りるのは無し。チェンジは1回だけで必ず持ってる手役で勝負しないといけない。これでどう?」




『おいおい、何言ってんだ。そんなことしたらただの運ゲーのポーカーになるじゃねえか!!』


『そうだそうだ。相手の様子を見て降りるか勝負するかの駆け引きがポーカーの醍醐味なのに、そんなことしたら面白くねーだろ!!』



外野が騒ぎ立て、ブーイングが飛び交う。



「う、うるさいわね!あんたたちは毎日のようにポーカーやっているんでしょう?駆け引きの勝負に持ち込まれたら、いつも賭博をやってるこいつのほうが有利でしょうが。フェアで勝負するなら単純に運で勝負しなさい!そうじゃないと私はやらないわよ!!」



すると、ジャックは再び笑った。



「良いだろう。そのルールでやろう。トランプは新品のものを開けて使うから安心してくれ。調べても構わない。ディーラーはそうだな…ライズ。お前がやれ」



ジャックは一人の男を指名した。



「待ちなさい。その人はジャック。貴方の味方でしょう。しっかり公平にカードを配るのか信用できないわ!」



「っ!何だとこの女!!」



「まあまあ、落ち着けよライズ。しかし、それじゃあどうすればいいんだ?風紀委員。カードを配る人がいなければポーカーはできないぞ」



「ディーラーなら適任がいるわ。入って来て!」



私が入口に向かって呼ぶと、黒髪長髪のメイド服姿の少女が現れる。



「紹介するわ。彼女はレーン・シャッフル。私のメイドよ」



「……そいつが風紀委員の唯一の手下かい?出口に配置していたとは抜け目無いねぇ…」



「当然でしょ。告発前に全員がこの場から逃げられたりしたら困るもの」



「それで、その女がディーラー役ってことか?」



「そうよ。私達は今日初めてポーカーをする事を知った。だからイカサマのしようが無いわ。きっとフェアにカードを配ってくれるはずよ」



「…分かった。認めよう」



…やけに素直ね。


もっとゴネてくるかと思ったけど。



「おいおい、ジャック。大丈夫かよ」



「問題ねえよ。ただし、こちらもルールを追加しても良いか?」



「何よ…」



「このポーカーのルールだとすぐに決着が着いてしまって面白くない。だから先に3回勝った方が勝ちということにしないか?」



「…うん、まあ別にそれはいいけど…」



「それと、一度使用したカードは山札に戻さず、テーブルに置いたままにしよう。そうすれば残りの山札のカードが予想できて少しは戦略性が出てくるからな」


「…分かったわ。そのルールで行きましょう」



そうしてレーンによってお互いにカードが配られる。



ふん、どうせ勝つのはこの私なんだから!


せいぜい私にギャンブルを挑んだことを後悔するがいいわ!!

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