(4)
疲れもあって、昨日は風呂から出た後、すぐに寝てしまった。日の出を見る事が出来て満足だった。海の向こうから日が昇ってきて海面に道を作っていた。
準備をして車に乗り込む。こんなに早くから行くって…何処に?そもそもこんなに早くからやっているのかな?
「もうやってるところあるの?」
「あるわよ?綺麗なのよ、あそこは」
車に揺られて一時間、目的地に到着する。場所は…ひまわり畑?あぁ、母さんと父さんの言っていた場所か。
「ここから好きに見てきていいわよ?」
「えぇ…?案内してくれないの?」
「二人で行きなさいよ、デートの邪魔する気?」
「分かったってば。」
父さんと母さんの仲睦まじい光景…仲がいいのは良い事なんだけど、あんまり息子からすると見たくはないかも。
「ありがとう、パパ、ママ」
「え?なんで?」
「寄人、こっちに来て」
手を引かれるままに移動する。何、何?!初めて来たはずなのに、なんかあらかじめ知っているような…?
「ここだよ」
「ここ?どこなの?」
「パパとママの告白した場所!」
「そうだったんだ」
「で、ね?そろそろお別れだと思うの」
「は…え?」
状況が飲み込めない。なんで?お別れって…何?そういえばひまわりの口調が…変わったような気が?
「今までありがとう、空から見てたよ?すっごい落ち込んでたよね」
「う…ぇ?」
「寄人を励ましたくて、伝えたくて、一時だけ降ろしてもらったんだ、愛をくれてありがとう」
「……。」
「私も本当に好きだよ」
お別れって…なんだよ。急に、分かんなくなるじゃないか…分かんないよ!!なんで急に…いうんだよ。
「ほら、見て!」
「うわぁ?!」
犬の姿…本当に、ひまわりだったんだ。ひまわり…。僕はひまわりをぎゅっと抱きしめる。人型になって好きだってなって、それでも犬に恋してる変な感情で…でも、好きなんだ。
「ははは…どうすればいいの…。」
「もう、呼ばれてるから行かないと」
「そう…なんだ。僕のためにわざわざ…ありがとう。僕も…大好きだ」
「うん、気持ちが伝わった…よ。」
ひまわりは涙を浮かべている。僕の頬も涙が伝っている。やっと言えたのに…それなのにここでお別れなんて、でも!色々してあげられたかな?
「僕は色々してあげられたかな?満足いったかな?」
「うん…うん!すごい嬉しかったよ?」
「ああ、そっか。気がかりだったことを…させてくれてありがとうね」
「うん、じゃあね!」
そのままひまわりは畑の上を飛んでいく。ありがとう、ひまわり。すごい嬉しかったよ。ふと目の前にあった向日葵の案内看板には、花言葉が書かれていた。
愛する人へ「あなただけを見つめている」、頑張っている人へ「情熱」僕は空に向けて「君を…幸せにさせてくれてありがとう。」と呟いた。
愛犬を愛しすぎたら、人間になって愛を伝えに来ました 鳶雫 @Tobishi
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