(2)
バイキングの席に二人で案内される。がしゃっという音と共に安全バーが下がってくる。こっちは不安でいっぱいというのに、隣のひまわりはニコニコしながら乗っている。ひまわり…すごいな。
船が空中に浮いて、振り子のように動き出す。うわぁ…気持ち悪い…。一回転…二回転…うわ!止まった!!ちょっと…地面が見えるって!!
「うわぁぁぁぁ」
「きゃははは!」
船が動きを止めて安全バーが上がった。はぁ…本当…怖すぎる。まだ視界が揺れているような…そんな気分だ。
「楽しかったね!」
「うん?え?すごいね?」
「楽しい!」
ひまわりが楽しいなら…それでいいか。でも…連続してこんなのに乗ったら…吐く、絶対に。ひまわりは僕の手を引いて先頭を歩いていく。案の定向かった先は…ジェットコースター…。
ロックされた座席にもたれかかる。コースターは動き始めてがたがた音を立てている。
「ひまわり…?」
「どうしたの?」
「次はね…ゆっくりできる乗り物に…」
僕が言い切る前に頂上から急降下する。ちょっと待ってくれ…せめて言い切らせ…。
「ぎゃぁぁぁ」
「あははははは!!」
「う…うぇ…」
吐きそうになるのを堪えながら、何とか楽しもうとする。なんだこれ…何が…楽しいんだ?誰だ…こんな乗り物を開発したのは!!
ひまわりを連れてベンチに座る。遊園地…恐ろしい場所だ。
「寄人?大丈夫?」
「うん…なんとかね?」
「そっか!」
ひまわりは元気で可愛いな…。ていうか…ゆっくりする乗り物ってなんだ?隣にあった案内板を見る。あぁ…ミラーハウスか。いいね。
屋内に入ると全面鏡張りの迷路のような構造になってた。すごいな…どこに進んだらいいか全然分かんないや。手探りで出口を探していると後ろからゴンという鈍い音が聞こえた。
「なんだ?!」
「痛い…」
「え?頭ぶつけた?」
「うん…」
そうか…鏡って分からないもんな…。自分の姿を鏡で見ても吠えてたりするし…。
「僕より前に出なければ大丈夫だよ?」
「そっか!」
またしても、鈍い音が聞こえる。ちょっと待ってくれ…。そんなにぶつかるか…?もしかして見えてない?いや…鏡には映ってるしな…。
「どうしようか?」
「もう、見ない!」
「見ないって…?」
ひまわりは後ろから僕に抱き着いてくる。あ…僕が歩けなくなるんだけど…。顔が熱くなっていく、きっと真っ赤だろうな…。恥ずかしさと嬉しさが混ざる。急いで出ようとして僕も頭を何回かぶつけた。
「で、出れたよ?」
「ほんと?」
「うん…。」
「なんか…変な感じ!」
ひまわりには、僕が思っているような事を考えているような様子はない。はぁ…煩わしいなぁ…。
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