(3)

 時計を見ると、午後の13時になっていた。アトラクションに並ぶって、結構時間がかかるんだな…。昼ご飯は何か…遊園地らしいものを食べたいけれど。なんだろう?遊園地らしい食べ物って。

飲食店がある方に歩いていくと、ひまわりが気配を察知したのか何やら探し出した。

 「こっちから良い匂いがする!」

 「うわっ!落ち着いて!」

 ひまわりはどんどん進んでいく。何を見つけたんだ…?って定食屋?!なんの匂いだ…これ?エビ?

 二人で入店してメニューを見る。エビフライが売りなのか、なるほど。道理で良い匂いがするわけだ…。

 「寄人!」

 「うん、多分エビフライかな?」

 「そうなの?」

 「そうだと思うよ?」

 ここまで来たのに分かってなかったか…。そっか、食べたことないよな…。エビフライととんかつを店員に注文して、来るのを待つ。

 不思議だな…遊園地って子供の行く場所かと思ってたけど…意外とそうでもないんだな。周りを見ると、大人のカップルや子供連れ、僕らと同い年ぐらいの人たち。様々な年齢の人たちがいる。

 「お待たせしました」

 「ありがとうございます」

 店員が二人分の料理を持ってくる。二人で手を合わせて食べ始める。サクサクの衣に分厚くてジューシーな肉の触感が相まっておいしい。

 「寄人!はい!」

 「どうしたの?」

 「あーん?」

 「……え?!」

 ひまわりがフォークに刺さったエビフライを僕に差し出す。ど…どこでそんな事を覚えたんだ?!どぎまぎしながら、エビフライを食べる。おいしいな…恥ずかしさで味がしないけど!

 「あーん!」

 「あ、僕もするのね」

 狙いはそれか…?!僕もフォークにとんかつを刺してお返しをする。

 「おいしい!」

 「う…うん」

 ひまわり?僕の気分もジェットコースターだよ?ひまわりの手のひらの上で踊らされてる気分だ…。

 「寄人と一緒だから、もっとおいしいね!」

 「うぇ?!そ、そうだね」

 「うん!」

 え、何?!本当に…どうしたの?!頭を打った時に…?いや、教えた事はないし…。なんなんだ…もう!本当に、嬉しいけど複雑な気持ちだよ…。

会計を済ませて店から出る。食べたばかりだから流石に激しい乗り物は…勘弁してほしいな。いや、ひまわりのために来たんだ!大丈夫…僕なら耐えられる…耐えられる…!

 「どうぶつえん…?ってなに?」

 「動物円?!あるの?すごいな…」

 「行ってみたい!」

 「行く?いいよ?」

 いいのか…元動物に動物園って。

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