四章 可愛さ満点!

(1)

 遊園地は家から電車に乗って1時間ぐらい離れた場所にある。かなり大きな規模で、色々楽しむ事ができる、らしい。行ったことはないけど。

 ひまわりを連れて駅の改札を通る。ひまわりは器用に僕の真似をして改札を通っていた。

 「初めて乗るよね?」

 「うん!」

 「急に来るから気を付けてね?」

 「そうなの?」

 一応アナウンスは入るけど…大丈夫かな?花火の時みたいにならないか…?そんな心配をしていると、電車がホームに入ってくる。ひまわりは…大丈夫みたいだ。

 「すごい!動いてる!」

 「そうだね、早いでしょ?」

 「うん!ちょっと怖い…」

 不思議な感覚なんだろうな~。僕には分からないけど。飛行機とかの方がもっと怖がりそうだな…。

 電車に揺られて一時間で目的地に到着する。駅を出てすぐ目の前に遊園地があった。立地良すぎだな…ていうか、人多くない?!電車には人が少なかったのに…どこから来てるんだ?

 「ついた!」

 「とりあえず…中に入ろうか?」

 「入る!」

 僕の手をぐいぐい引っ張る。そんなに慌てて…遊園地は逃げないよ?チケットを見せて中に入る。中はカラフルな建物と自然が共存していて綺麗な装いをしていた。

 「すごいな…こんなに凝っているんだ」

 「寄人?初めて?」

 「初めてだね」

 「そっか!」

 何やら満足気なひまわり。なんだ?来れた事に満足しているのか?きっとすごいのはこれからだと思うよ?

 アトラクションの一覧が書いてある看板を読む。うわ…かなりグロッキーになりそうな乗り物がいっぱいあるな…。ジェットコースター、バイキング、フリーフォール…ここは怖がらせに特化してるのか?

 「どうしたの?」

 「いや…大変そうだなって」

 「何が?」

 「乗り物が…気持ち悪くなりそうかなって」

 「わかんない!」

 ひまわりには分からないよね。僕も聞いたことしかないから分からないけど。乗ってみてどのぐらいの感じか分かれば何とかなりそうかな?まずは…バイキングから行ってみるか?

 「行こうか?」

 「うん!」

 一緒にバイキングに並ぶ。並びながら乗り物を見ている感じ…一回転するタイプらしい。これ、大丈夫なのか?途中で…止まってるぞ?!あぁ…仕様なのか。そわそわしながら乗り物を見ていると、ひまわりが僕の様子を見てクスクス笑っている。

 「何?どうしたの?」

 「寄人、おかしい!」

 「そうかな?」

 「ゆれてるよ?」

 僕自身がアトラクションになってしまったようだ。でも、不安じゃないか?初めて乗る乗り物があんなに…高いところで止まったら…。怖いだろ…?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る