ダンジョン崩壊

よろよろと歩きながらやっとの思いで帰ってきた家。


「タダイマァ」

「あんたどうしたの!?そんなによろめいて」

「イイカラゴハンヲォ」

「わかったからその話し方やめなさい。気持ち悪いから」


相手にとってはふざけてるように見えるかもしれないけどさ、こっちにとってはマジなんだよね。


「あ、お米炊き忘れた。ごめんけどお金払うから外で食ってきて」

「なぬぅ。まあわかったけどさ、お母さんは食べないの?」

「あぁ、悠斗がいない間に食べてきちゃった。ちなみに回らないお寿司ね」

「俺のいない間に回らない寿司を食っていたのか!?畜生!渡されたお金は1000円か...これじゃあサイ〇リアくらいしか行けないじゃないか!」

「サイ〇リアのミラノ〇ドリアとか安いしうまいやろ」


くぅ。文句言ってるほどの腹が持たない...仕方ない。ここは妥協しよう。サイ〇リアが近くにあってよかった。



「はぁ~。くったくった。ミラノ〇ドリアいがいとうまかったなぁ。でもまだお金が余ってるんだよな。お金残しとくと親に返さないといけないからもうちょっと何かにつかおっかな♪」


ちょうど近くにあるファ〇マでアイスでもかおっかな?


『悠斗さん!そんなことしている暇はないようですよ。あちらを見てください』

「ん?どうしたポンコツ、てかあちらってどこだよ。」

『ポンコツ呼びはやめてください!あとあちらというのはファ〇マの反対方面です。』


俺がそっち方面に向くと地面にあるコンクリートがもっこりと膨らんでいる(?)場所があった。


「なにあれ?」

『わからないんですか?悠斗さんも意外とポンコツですね』

「あ?ポンコツはお前だけの特権だっつぅの。で、これ何なの?」

『ダンジョンですよ。それもダンジョン崩壊寸前のね』

「ダンジョン崩壊?なんだそれ」

『はぁ、そんなものもわからないのですか?しょうがないですね。教えてあげますよ。ダンジョン崩壊というものは~~~~』


まあ、このポンコツが言ってたことによると、ダンジョンの入り口に張られている結界が破壊されて中にいる魔物たちがあふれ出してくるというものらしい。


「なるほど...それってやばくね?」

『だからアイス買ってる暇はないって言ったんじゃないですか!このまま放っておけばここら辺が血の海になりますよ』

「どうしたらこのダンジョン崩壊は収まるんだ?」

『ダンジョン崩壊を収めるには、進軍してくる中で、最も強い魔物を倒さなければなりません。しかし、それは命を危険に晒すことと同じです。それでも行きますか?』

「あぁ。俺が行かなければ町の人が...凛が死んでしまうかもしれない。俺は凛を救うためにやり直したんだ。ここなんかで止まってられるもんか!」

『わかりました。でしたらこれらをお受け取りください。』


そう言うと、空中からコートと、何かの瓶と、1枚の紙が落ちてきた。


「おっと。なんだこれ。」

『私からの送り物です。1つ目のコートは魔物の素材が編み込まれており、並大抵の攻撃では傷一つつきません。2つ目の瓶は回復薬です。もし、このコートで防ぎきれない攻撃を受けて、致命的なダメージを負ったときは、傷口にこの液体をかけてください。よほどのことがなければ回復するでしょう。最後、3つ目のカギはこのダンジョンの入場パスです。もし戦闘中に落としたりしたらもう二度とダンジョンから出られないのでちゃんとストレージに入れといてください。』


俺はもらったコートを羽織り、瓶をすぐに取り出せるように腰に掛けて、準備万端だ。


「すごい。このコート、羽織ると体が軽くなったような気がするし、邪魔にならない。ありがとう。えぇっと。あなたの名前は?」

『私には名前がありません。なので悠斗さんがつけてください!』

「えぇ!?俺が決めるの!?」


う~ん。こいつは確かやり直しが作った人格なんだよね。やりなおし...やりな..りな!


「よし!今日からお前の名前はりなだ!」

『悠斗さんにしてはいい名前ですね。』

「...まあいい。さぁ、いこう!この街を救いに。」

『漫画の主人公みたいなセリフ言わないでください。』


はぁ。最後までしまらないなぁ。

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