第20話 新しい友達

 ──1週間後。リヨクは、1人の寂しさを久しぶりに味わっていた。


 最近忙しそうなグオ。

 リヨクは、話しかけようとして、やっぱりやめるを1日になんどか繰り返す毎日を送っていた。



 ──そんな日々も終わり、リヨクは、

『セイブ』、『バヤン』、『ダヤン』と過ごす日々が始まった。


『セイブ』は、オールバックで、黄緑色の目、眉毛がなくて目の上に目のようなタトゥーが入っている落ち着いた少年。


『バヤン』は、くるくるパーマで、目が大きい気の強い少女。


『ダヤン』は、七三分けの髪で、たらこ唇のむすっとした少年。だ。


 ──ポムヒュース4階、『火喉ヴァヒカ』店内──


 ──「えー、そんなに辛いの? 大丈夫かな…」


 リヨクは、4階の羽が生えた白い花、《ヤユニル》の上にある、激辛料理が有名なレストランに来ていた。


 店内の黒い壁には、リヨクの恐怖を煽る、火を吹く白い龍の絵が描かれていた。


 ──「はいどうぞー、いつもありがとね! 辛いよー!」

 店員が持ってきたのは、真っ赤なドロドロスープに浸かったひまわりだった。


(うわぁ……、死ぬかも)


 ──マグマのようなスープをじーっと見るリヨク。


「リヨク、食べないの?」セイブ。


「いや、食べるよ!」リヨクは一口食べて、水を入れに行った。


 ──「リヨク遅かったな、大丈夫?」と心配してくれる優しいセイブ。


「大丈夫!」



 ──「なんでセイブはいつもすぐになんでもできちゃうの?」とリヨクはとりあえず褒めてみた。

 実際、ほんとに思っていることだったが。


「なんでっていわれても、元々できるからさ、ここでは見えない力のことを『プロン』っていうけど、『カウイル』だと思ってやってみたら全てうまくいったんだ」


「カウイルってなに?」リヨクは眉をひそめた。

「カウイルはカウイルだよ……え、知らない?」

「聞いたことない」

「リヨク地球から来たんじゃないの?」

「え、地球からだよ? ぼくがおかしいのかな…」


「わたしたちも聞いたことないよ、カウイルなんて」とバヤンとダヤン。


「えー、なんでだろ」と言い、拳にアゴを置くセイブ。


「セイブがこの世界にきた時に着てた服も、ちょっと変わってたよね」とリヨク。


「わたしも最初セイブ見たとき、変わった服の人っておもってた」とバヤン。


「だよね!」

「えー。ぼくも地球人だよー」



 ──3日後。


 リヨクはこの3日間。セイブたちと、いたり、いなかったりしており、今は1人大庭で休憩していた。


「ハァ…早く帰ってきてよオウエン」とリヨクはボソッとつぶやいた。


 そんな時、ポピュアの少年3人が話しかけてきた。


 ユウマと予選で戦った、つり目で小さく尖った鼻が特徴的な、金髪短髪の少年、『ルエロ』


 そして、予選でぼくに負けた、丸い鼻とくりくりの目が特徴的な、眉上センター分けの少年、『クロスケ』


 最後に、細い目、幸の薄い顔をした坊主に近い短髪の少年、『タカシ』


「! …やぁ」突然話しかけられ、戸惑うリヨク。


「一緒になんか食べにいこーよ!」


「うん」


 リヨクは、咄嗟に返事してまった。



 ──ポムヒュース4階、『連続硬ヤウデュオ』店内──


連続硬ヤウデュオ』は、4階の羽が生えた白いヤユニルの上にある、硬い焼き菓子が有名なカフェ。


 茶色ベースの壁に黄緑色のうねった模様が描かれた、アーティスティックな外観をしている。


 店内は、焼きたてのお菓子が放つ香ばしい匂いが漂っていた。


 窓際に座ったリヨクたちは、心地よい日差しの中で、『連続硬ヤウデュオ』の有名な焼き菓子を楽しんでいた。


 リヨクは、少し硬めで4つの切れ目がある店色の焼き菓子をポキッと折り、1つほおばった。


「これおいしいね!」リヨク。


「だろ?『連続硬ヤウデュオ』っていうんだ。この店の名前と一緒。おれらここによく来るんだ」とルエロは眉を上げて言った。


「おれが見つけた」とクロスケが手を上げ言った。


「へぇ、おいしいね」リヨクはもう1つほおばった。


「リヨクくんはさ、ゲームとかするの?」クロスケ。

「するよ、たまにだけど」


「クロスケの父ちゃんは、ゲーム会社で働いてるんだ」タカシはボソッと言った。


「へぇ〜、じゃあ家にゲームいっぱいあるの?」

「うん、全機種そろってる」

「いいなぁ〜」

「地球に帰ったら何個かあげるよ」

「えー、いいの?」

「うん」


「クロスケは、ゲームで負けたことないんだって。大会にも出たんだっけ?」とルエロ。


「うん、『コマンド』の大会で優勝した」クロスケ。


「へぇ、ぼくなんか負けたことしかないよ」

「『コマンド』、知ってる?」

「知ってるよ、いっぱいの兵隊を操って戦うやつでしょ?」

「そうそう」

「『コマンド3』やらせてもらったけど、ぼく、全然向いてなかった」

「コマンド3?」

「うん、最近でたんでしょ?」

「いや、3なんて出てない」

「あれ? ……」




 ──ポピュア村──


 リヨクは、ルエロたち3人とポピュアの食堂に来ていた。


 ──「おれらさ、リヨクらに憧れてたんだ」とルエロが言うと、タカシ、クロスケは頷いた。


 リヨクは、首を傾げ「なんで?」と聞いた。


「だってお前ら3人とも1位だったじゃん」


「あぁ、それはぼくも最初びっくりしたよ、まさか自分が? って思ったよ」


「クロスケ、予選でリヨクと戦ったよな、どう? 強かった?」ルエロ。


「うん、一緒勝てないって思ったよ」クロスケ。


「ほんとに?」と言うリヨクだったが、内心では、余裕だったと思っていた。


「いいよなぁ、おれ、目立ちたがり屋だからさ、羨ましいなーって、リヨクらってなんか特訓とかしてたの?」

「なんもしてないよ」

「まじか、天才じゃん」

「そんなことないけどね。まぁ、先生にはセンスあるって言われたりしたけど」

「へぇ〜やっぱ天才かよ、なんかショック」と言いルエロは笑った。


 ──「シユラのことどう思う?」ルエロ。

「んー、特になにも」リヨク。

「うそ、おれは嫌いだなぁ。なんか偉そうじゃん」

「んー、それはちょっとわかるかも」


「だよな! あいつにギャフンと言わせるいい方法ないかなー。……てかリヨクのあの、バッコーンってやつ」──


 ルエロはリヨクが芝を塔の上まで成長させた時を、手を下から上に、勢いよく上げ表現した。


 ──「あれで持ち上げるとかは?」


「そんなことしたら先生に怒られるよ」

「そっかぁ、なら他になんかないかな?」

「そんなにシユラをギャフンと言わせたいの?」リヨク。


「だっておれら、あいつらによく命令されるからさ、今日だってヤパルミュレル買いに行かされたし」


「えー、それはムカつくよ」とリヨクは少し体を後ろに反らせながら言った。


「だろ? 自分で買ってこいっての。……ムカつくけど、あいつ、火浮かして脅してくるからさ」


「あれされたら逆らえないよ」クロスケ。


 頷くタカシ。


「そっかー、どうしたらやめてくれるんだろーね」リヨク。


「ぼくとリヨクくんが協力したらシユラをギャフンと言わせれるかも」クロスケ。


「なんかいい案あるの?」ルエロ。

「今はなにも浮かんでないけど」

「なんだよそれ」


 ──解散後、クロスケは、なにか考えるような顔でリヨクについてきた。


「どうしたの?」

 リヨクはクロスケの様子にすこし首を傾げながら言った。


「明日、緑の街ピプロヌの図書館に行って、シユラをギャフンと言わせる方法見つけない?」

 クロスケの目はいたずらに輝いていた。


「え、明日?」リヨクは少し動揺したが、『緑の街ピプロヌ』に興味が湧いてきた。


「というか……ふつうに遊び行こ、ずっと行ってみたかったんだ」

 クロスケは、そそくさと地図を広げながら言った。


「トリルトさんにもらってたんだ。ルエロたち行ってくれなくてさ……」


 リヨクは、緑の街ピプロヌを想像した。


 ──「いいよ!」

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