第12話 石学 生態と接し方①
リヨクはふと疑問に思い「なんでユウマなの?」と軽く聞いた。
「なんとなく。なんか癖で言っちゃったんだ」とユウマは平然と答えたが、その目には一瞬、暗い影が浮かんだ。
リヨクはその微妙な変化を感じ取り、それ以上聞くのをやめた。
──その後、リヨクとオウエンは、これまで通り「ユウマ」と呼ぶことに決めた。
「ほんとにタイシって呼ばなくていいのか?」
オウエンがユウマに聞いた。
「うん、ユウマでいい。後で先生にもユウマって呼んでって言うし」
──適性を記録した紙を配り終えた先生が話し出した。
「全員紙を受け取りましたね? ──では、この紙に書かれている3つのレベルについて説明します。
入門レベル=扱いやすい。熟練レベル=扱いがやや難しい。高等レベル=扱いが難しい。と言った見方です。
この2枚の紙はこれから3年間、実践の授業で必要になりますので、無くさずに持っていてください。
適性植物がわかりましたので、明日からは本格的に植物術の実践を始めていく予定です。
──それでは、
授業が終わるとオウエンは、「おれ、ちょっと寝る」と言い教室の芝生に横になり、すぐにイビキをかきながら寝た。
リヨクとユウマは「わかった」と言い、旧楽園の子たちがワーワーと盛り上がっている、葉っぱの掲示板を見に行った。
──そこには別の学校で開催されたバトル大会「ポァ」についての記事が貼られていた。
〝【特報】天才少年ルウフ、「
決勝戦。ルウフくんの対戦相手は、同じ
空中でキラリとなびく白金の髪。氷の矢と花の矢を巧みに使い分け放つ姿は、まさに芸術の域。
トクくんが得意とする毒技を繰り出す前に、ルウフくんは見事勝利を手にした。
──旧楽園の子たちの会話
──「いーなー、
「わたしは
──「ぼくらは『ポァ』いつだっけ?
「11月から2月までだったと思う。他の学舎と比べて遅いよね」
──「このルウフって子にシユラくん勝てる?」
坊主頭の子が掲示板を見ながらシユラに聞いた。
「ん? あたりまえだろ、おまえは、おれが勝てないと思ってるのか?」
シユラは、坊主頭の子の胸ぐらを掴み言った。
「え、ごめんっ」
「あやまるって事は、そう思っていたんだな? ……フブノーイ生まれの庶民に、おれが負けるって?」
「ちがうよっ、聞いてみただけだって、シユラくんが負けるわけないよ」
坊主頭の子は、シユラにビビりながら答えた。
「んーでもこいつ、全試合一分以内で倒してるし、シユラでもやばいんじゃないかなぁ」
眠そうな目をした少年が薄らと笑いながら言った。
「相手が弱かっただけだ」と言いながらシユラは、坊主頭の子を掴む手を、勢いよく離した。
──16時になり、
「さて、
続いて、
これには、この星の特徴が関係しており、この世界には3つの国が存在し、それぞれが異なる専門分野を持っています」
──メヒワ先生は、黒板代わりの大きな葉っぱの葉脈を動かし、文字を浮かび上がらせると、話しを続けた。
「
そのため、私たちのいる
ですが、基本を把握しておけば、
また、4年生になれば、石や獣に特化した別の学校への転校も選択できます。
役に立つ知識を得たり、新たな才能を発見するためにも、これらの科目をこれからも学んでいくことをオススメします
──それでは、
リヨクは31ページを開いた。
そこには、2つの石の絵が描かれていた。
一つは石を中心に内側に向く矢印(→石)。
もう一つは石から外側へ向かう矢印(←石)。
──「この2つの石の絵は、押す力=
引き寄せる力=
どちらも石が発生させるもので両方の力をうまく扱うことにより様々な力を発揮します。
──次のページを開いてください」
次のページには、①両手に持った石を合わせ、その2つの石の隙間から光が出て驚く人の絵が描かれていた。
この絵は合計4つの過程が描かれており、残りの絵は以下の通りだった。
②光った石が入った石臼の中に、手から液体をポトポトと垂らしている絵。
③石臼から剣を取り出し、満足そうに笑う人の絵。
④剣をハンマーで叩いたり研いだりしている人の絵。
──リヨクは、②の絵についてユウマと話し合っていた。
「これってなんだろーね」
リヨクは振り返り、後ろにいるユウマに、手から垂らしている液体の絵を指さして言った。
「血じゃね?」ユウマは笑いながら答えた。
「えっ……こわ」
──ユウマはメヒワ先生を見て、リヨクに前を向くように促した。
リヨクが前を向くと、メヒワ先生は再び話し出した。
「この絵は、剣を
石と石の間に[
[
──このように
──[
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