第8話 《成長》
──リヨクは、6ページを開いた。
そこには、人の形をした植物と話す裸の人の絵が描かれており、その下には文章が書かれていた。
「──それでは、どなたか読んでいただけますか? ──嫌ですか。では私が読みます」
「──古代の人々は、自然とコミュニケーションをとるために『
自然は、《プロン》を感じると同時に、潜在的にその言葉を理解してくれます。
この場では、
『
──次のページを開いてください」
メヒワ先生は、大きな葉っぱの葉脈を動かし、文字を浮かび上がらせると、また話し出した。
「先ほど芝を使い実践した《
単に《リベク》と
植物を成長させるには、『成長限界』を知る必要があります。
『成長限界』とは、その植物が成長できる最大値のこと。
実際に成長した姿を目の当たりにしていれば、リアルに想像することができ、
成長限界を見ずに指示しても、植物は応じてくれません。
植物には、リアルな映像を見せ、ここまで成長できるのよと教えてあげる必要があります」
──メヒワ先生は、ピンとした茎で文字をなぞりながら話し出した。
「《
成長した姿を想像→その映像を《プロン》に含ませる→その《プロン》を言葉にのせて、植物にここまで成長してと指示する。
うまく伝わるとブワッと成長してくれると言うわけね
──芝の成長限界は、ポムヒュース1階から3階を少し超えた辺りです。
うまく芝を成長させることができた子は、
3階に上がる時、綱のように成長する、芝の成長限界をよく観察できていたというわけです」
「──《
入学したポピュア17名全員、習得してもらいます。
すでに習得済みのリヨクくん、セイブくんには申し訳ないですが、見守っていただきましょう」
黒髪の少女が、困った顔をして先生に言った。
「れも、てんて、れいるおういなういはろうすーれば! いいれすーあ?」
メヒワ先生は、しばらく考えた後に答えた。
「──はい。できるようになるにはどうすればいいか、ですね。
それは、根気よく練習し続けること。
そして、少しずつコツをつかんでいくこと、それだけです。
今から1週間を目標に、全員、芝を自分の背よりも高く伸ばせるようになりましょう」
──「一度できたセイブくんも、またできるとは限りませんし。リヨクくんはこの1週間で調整をマスターしましょう」
それから
──1週間後──
『
子どもたちは全員、自身の背よりも高く芝をを伸ばした。
「皆さん、めげずによく頑張りました。
──《プロン》、《リベク》を習得したあなたたちは、明日から、在学中の『旧楽園』の子どもたちと一緒に学んでいただきます。同い年ですからすぐに仲良くなれるでしょう。
「これから旧楽園の子どもたちと一緒に学んでいくポムヒュースでの1日のスケジュールです。《レンレ》」
メヒワ先生は、大きな葉っぱの葉脈を動かし、文字を浮かび上がらせた。
〝10時〜12時
14時〜15時
16時
17時
「あなたたちは自由に学びたい科目の時間に来てください興味がなければ学ばなくて結構です。
授業開始の時点で席についていない子は、出て行ってもらいますし、遅れてくるとその科目が終わるまで教室に入れません。ですが、1日だけでも、全教科に顔を出すことをおすすめします。才能を発見できるかもしれないので。
今日はこれでおしまいです。──入ってきなさい」
入り口からぞろぞろと多くの子どもたちが教室に入ってきた。
「明日からみなさんと一緒に学ぶ、『旧楽園』の子どもたちです。気になって見に来たのでしょう」
メヒワ先生は、入ってきた子どもたち数十名に向かって話し出した。
「以前お話した通り、彼彼女らは、地球という星から来たばかりで、この世界のことをあまり知りません。
ですので、これから色々と教えてあげてください。
過去に来たポピュアがこの世界の発展に大いに貢献したように、この子たちも、この世界に良い影響を与える可能性を秘めています。
例えば、石の国ジオニートの石術を用いた高速移動システムを考えた、天才『アルベルト』。
彼は、この世界の科学を促進させました。
そして、石術を使った治療法の生みの親、救世主『ヒルデガルド』もポピュアです。
今では普通となった石術治療ですが、ヒルデガルドが生み出す前には存在しなかったものです。
彼女は、かつて治療法がないと言われていた感染病『ユフレマ菌』を死滅させる方法を考え、多くの
それに、英雄『ジャンヌ』もポピュアね。
彼女は、太陽の軍『
国家転覆を目論む、悪の軍団『
この子たちも、先代のポピュアのように私たちの世界に良い影響を与える存在になるやもしれません。
互いを尊重し合い、共に成長し、よい未来を築き上げてください」
メヒワ先生が話終わると、ポピュアの子どもたちと旧楽園の子どもたちは、握手を交わした。
そうして、その日のぼくらの学舎生活は静かに幕を閉じた。
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