第10話 結成 神聖ミカド組

 ルシーラが仲間に加わってからさらに三日後、遂に教会が完成したとの報せが届いた。


 一行が向かうと、教会の前にはルイスガル商工会会長のマークが待っていた。


「シスター・キョウカ殿、今回は町を救って下さりありがとうございました…」


 マークもハードックの悪事は知っていたのだが相手は帝国の上級貴族、逆らうことは出来なかったのだ。

 なので彼を責めることはキョウカには出来なかった。


「顔を上げてくださいマーク殿、こちらこそ屋敷の取り壊しから教会の建設まで何から何へとありがとうございます」


 一応、彼にはもう一度町長を務めてもらうことにした。


「キョウカさん!私、先に中を見てきますねー!」

 レガリアスが脱兎の如く駆け出した、それに続きルシーラも慌てて着いていく。

「ちょ…レガリアスさん、待ってくださいー!」

「ではマーク殿、私たちはこれで」

 マークと別れたキョウカも教会の中に入る。


 木造二階建ての一見すると、シンプルな造りだが1回部分には立派なステンドグラスや長椅子が備え付けられており、教会として十分機能するようになっていた。

 そして二階には居住スペースがあり、そこは三人で住む場所にしては広すぎるくらいだった。

 一通り中を確認した後、キョウカは二人を集めて、今後の方針について説明を行う。


「さて、今後の方針だが、私達は表向きはルイスガル教会を運営するが同時に自警団組織を発足させるということは話したな?」

「ええ、キョウカさん前から言ってましたもんね」


「うん、分かってる」


 レガリアスには既に伝えており、ルシーラに至っては自警団組織の主力として迎え入れるために勧誘したのだから。


「それで自警団の名前なんだが、もう既に決まっているんだ」


「「どんなのですか!?」」


 同時に二人から声が上がり、キョウカは前々から考えていた名前を発表する。

「名前は…(神聖ミカド組)だ」

 そして肝心の仕事内容の説明も行う。


「自警団 神聖ミカド組の主な仕事は、私たちのシマであるルイスガルの守護だ、知っての通り私たちは帝国の上級貴族を粛清した件で帝国から報復行動を起こされる可能性もある、その脅威からシマの住人を守るのが第一目標だ」


「ふん、この高位女神にかかれば帝国なんて恐るるに足りませんよ!」


「私は…アイラを守れなかった代わりに…この町を守ってみせる…!」


 よし、二人の気合いは十分だな。

 キョウカは目配せをする、意図を理解した二人が自分の武器を掲げた、京真もベレッタを抜き掲げる。


「神聖ミカド組、ここに発足だ」


 今日、この小さな教会で後に巨大な武闘派組織となる神聖ミカド組が誕生したのだった。





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