第9話 少女の新たな決意

 キョウカ達はハードックを粛清した後、屋敷の地下牢で被害者の遺体を回収して、町外れの墓地に埋葬した。


 そしてルシーラは未だ、目を覚ましておらず、

 宿屋の一室で眠り続けている。


 埋葬を終えたキョウカ達はハードックが倉庫に溜め込んでいた莫大な金貨を回収してから、町の人々の協力を得て、屋敷を取り壊した。


 そしてあの一件からはや一週間が過ぎ去った。


「キョウカさんっ!ルシーラさんが目を覚ましましたよ!」


 レガリアス息を切らしながら、勢い良くドアを開けて入ってきた。


「やっと起きたか、様子は?」


 肉親を突然失ったのだ、精神的ダメージも計り知れないだろう。


「ええ、ずっと窓の外を見てるばかりで…かなり憔悴してるようでしたね」

「なら俺から話をするしかないか」


 キョウカはルシーラの部屋へ向かった。


「ああ…キョウカさん……来てくれたんですね…」

 やはりと言っていいか、ルシーラの状態は酷いものだった。


「……妹の件は残念だったな…ルイスガル共同墓地に埋葬したから、落ち着いたら行くといい」


 ルシーラは俯いてぽつぽつと語り出す。


「はは…私、ひとりぼっちになっちゃいました、元々両親も亡くなっていて…アイラは私の全てだった…そんな存在が突然いなくなるなんて…一体これからどうやって…何を糧に生きていけば……」


「それについてなんだが、一つ提案があるんだ」


 キョウカの言葉を聞いてルシーラはキョトンとした表情をする。


「私とレガリアスはこれから組織を立ち上げる、お前も俺達と一緒に来ないか?」


「えっ……」


 そう、キョウカはルシーラを自身の組織に勧誘したのだ。


「お前も見ただろう、大切な人を無残に奪われる理不尽さを…私は変えていきたいんだ、すぐに返答しなくてもいいからゆっくり考えてくれ」


 そう言って踵を返すキョウカだったが。


「やります…!是非やらせてください!…もうあんな…アイラ達みたいな悲劇は二度と起こしたくないです…!よろしくお願いします!キョウカさん!」


 ルシーラは絞り出すように声を上げた。

「そうか、これからよろしくなルシーラ」


「ルシーラさん、改めてよろしくお願いしますっ!」


 こうしてルシーラは協力者ではなく、頼もしい仲間となった。






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