一撃に篭った魂

 バァン!と特殊弾を放つ。


 その一撃は狙い通り…、とはいかず胸部装甲に当たった。


 特殊弾の威力は凄まじく、胸部装甲にダメージを与えることに成功するも、まだ肉体を露見するまではいかない。


 続いて二発目を装填。今度は先輩の補助を貰い、発射する。


 今度は頭部に特殊弾が当たる。が、どうしてもまだ足りなかった。


「くそ…。何なんだよ、なんでこれでもダメなんだよ…。」


「怯むな!三発目いくぞ!」


 三発目を用意する。が、今度はレギウスからの攻撃があった。


「伏せろ!!」


 隊長の指示で屈む俺達。


≪モモンガ6、応答せよ。送れ。6応答せよ!送れ!≫


 無線越しに別動隊として活動していた副隊長の声が聞こえた。


≪こちらモモンガ1、全員なんとか無事です。しかし、特殊弾による攻撃は…。≫


 俺が無線を取り応答した。ちりじりとまでは言わないものの、全員離れた所に飛ばされてしまった。


≪新人か。いいか、特殊弾は確かに効いている。俺たちが注意を惹きつけるから、もう一発同じところに撃ち込め!≫


 すぐそこに特殊弾を装填したバズーカがあった。ただ、二度の攻撃でなお表皮に決定打を与えられていない。それに、残った特殊弾もそれが最後の1発だった…。いや、まてよ。確か1発だけ向こうにも特殊弾があったはず。


≪モモンガ2、そちらに特殊弾があるはずです。同時に頭部の先程の箇所に砲撃を行えば、大ダメージが通るはずです!≫


 提案にノッテてくれるかわからなかったけど、提案を行ってみる。


≪了解!同時に最後の2発、撃ち込んでやろうぜ!準備ができ次第言ってくれ!終わり!≫


「本当にすまない。新人、お前の力で決めてくれ!」


 救護活動を先輩が行っている。その先輩からの激を受けて俺はバズーカを構えた。


≪モモンガ2、こちらモモンガ1、いつでも撃てます!送れ!≫


≪モモンガ2了解!キメてやろうぜ新人!撃ち方用意…砲発射!≫


「砲発射!喰らえ――――――ッ!!」


 二方向からレギウスに向かって特殊弾が放たれる。


 2発の特殊弾が頭部に当たる。バアン!という爆発音とともにバキバキバキと何かが砕ける音も聞こえた。


≪よくやった!!後は俺たちの仕事だ!お前は隊長らの救護活動に当たれ!終わり!≫


 無線が終わった頃に発射音が聞こえた。別動隊が冷凍弾を発射。そして、その様子を見届けた戦車中隊や航空部隊が、一斉に俺達の開けた大穴に攻撃を仕掛ける。


「いって…。や、やったのか?」


「隊長、俺、やりました。特殊弾及び冷凍弾の攻撃、成功しました!」


「そうか…。よくやった!本当によくやったよお前。ありがとう!」


 駆け付けた医療班とともに救護活動を続けている。死者ゼロで済んだのが奇跡だった。






20XX年11月某日



○四四五 兵庫県神戸市



甲虫怪獣レギウスの活動停止を兵庫県庁付近にて確認。



第1特殊空挺団『モモンガ』の作戦は成功した。

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