降下
「未確認巨大生物による警戒レベル4以上の災害」
通称:怪獣災害
現在、世界で最も深刻な災害として周知されている災害。
怪獣の発生原因や目的等が一切不明のため、早急な対応が常に求められている。
我が国で初めて記録された怪獣災害は、1954年11月3日
小笠原諸島沖で水爆実験を行っていた、アメリカ軍艦2隻と、たまたま規制線近くを航海していた、民間船1隻が被害にあった。
以来、様々な怪獣が我が国では出現しており、世界有数の「怪獣大国」と呼ばれるようになった。
「すげぇ…。」
こんな形で100万ドルの夜景を見ることになるとは正直思っていなかった。
…おっと。感動に浸っている場合ではない。自由落下で落ちてるのだから、眼前に広がる絶景から早急に降下ポイントを見つけないといけない。
《見えるか、あのビルで地上部隊の隊員が赤色灯を持っているのが。あれが降下ポイントだ。》
隊長から俺に無線が入った。酸素マスクの中にマイクでも仕込んでたらしい。
前方の隊員らがジェットホバーを起動した。
モモンガ隊では、パラシュートを使用する代わりとして、熱源を感知する怪獣でも感知が難しいとされる、特別な仕様のジェットホバーを活用して作戦に当たる。
俺も続いてジェットホバーを起動する。
ガクン。と自由落下が静止されたような状態になり、以降はジェットホバーを操作して着地する。
30秒ほどの空の旅は幕を閉じた。ここからが本番である。
《モモンガ6よりCPへ。降下完了。これより、作戦目標地点を目指す。送れ。》
《モモンガ6了解。全部隊、モモンガが目標地点に到達するまで攻撃を中止せよ。繰り返す。モモンガが目標地点に到達するまで攻撃を中止せよ。終わり。》
「まってたぜモモンガ隊。誘導及び護衛を担当するヤマネコだ。よろしく。」
俺たちモモンガ隊と地上部隊であるヤマネコ隊が合流した。隊長と副隊長の二手に別れたモモンガは、ここからヤマネコ隊と目標のビルに向かう。
《こちらモモンガ2、うちのモモンガ達は集結が完了した。ヤマネコ2と共に目標地点を目指す。送れ。》
《モモンガ2了解。こちらモモンガ6、現在ヤマネコ1と共に目標地点まで進行中。終わり。》
幾度か無線のやり取りを行ったあと、俺たちはレギウスの姿がすぐそこまで見れる場所まで移動した。
「あーあ、メリケンパークがめちゃくちゃだな。ポートタワーの工事が終わるのも、こりゃまた延期だな。」
双眼鏡を覗きながら隊長が言った。あれ、今回の怪獣は甲虫怪獣なのに、海からやってきたのか?
「何故か分からんが、メリケンパークすぐ近くに飛来。で、メリケンパークから兵庫県庁方面に北上中。カワサキミュージアムが壊されてないといいな…。」
とこれは先輩。やっぱり怪獣というのはどういう生態してるか分からないヤツが多い。
《モモンガ6よりCPへ。作戦位置に到達。いつでもOKです。送れ。》
《了解。モモンガは特殊弾の射程圏内に入ったら、任意で特殊弾と冷凍弾を発射してください。終わり。》
「聞いた通りだ、いつでもお見舞いできるよう準備しとけ。」
「「「了解。」」」
20XX年11月某日
○○三○ 兵庫県神戸市
メリケンパークより上陸した怪獣に
俺達は、攻撃する準備を開始した。
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