第2話 新たな生活

「レヴィ…そろそろおきなs…」

「んんっ…ロイか…」

目を覚ますと見覚えのない天井があり受肉が成功したのだと察した。


体を起こすと体に違和感があった。

初めての人間に受肉したのもあるがレヴィは京という男性から体をもらったのが気がしたのだが体は女の体になっている。


どうやら彼の体では失敗したのであろう。

その後ロイの力によってストックされていた屍に移して、その後成功したのだが完全ではなく右手は我の炎に耐えきれず焼失したのか右手はない。


ここは人間界なのか二人ほど寝れるであろうベッドの横に机その反対に本棚がある誰かの寝室なのだろうかベッドから降りて部屋を散策する。


「失礼します…」

ノックと同時に小声でいいドアのハンドルを静かに下ろしてゆっくりとあける。

狭い部屋でもあったのでベッドからでて散策をしていたためドアを体をぶつけその衝撃後ドアから顔を覗かせてこちらを見る

「エース…すいません…おはようございます…」

ぼそぼそと喋りながらドアを閉めて去っていこうしたためレヴィは左手でドアつかんで止めた。

「何処に行く、ちょっと話でもしようではないか」

指先に力が入りそこからドアに熱がおくられ焼けた匂いがする。

ドアを引っ張りあけると女はハンドルから手を話して、右手を背に隠して立っている。

「別にお前を食ったりはしない、お前からロイの匂いがする」


この女は我と同じくロイが受肉させたものなのだろうロイがかけたであろう魔法の残滓が感じる。

「今の私では…あなたには勝てそうにもありません…」

「ジョーカー様にお目覚めの報告を…」

女は振り向くとまっすぐ廊下を進んでいく腰には刃先のおおきな手斧腰に下げていた幼い女の癖に物騒なものを持っているもんだ。

女の後ろをついていき四つ目の部屋を通りすぎ五つ目のドアの前に止まった。


「ジョーカー様…エースさんが起きましたのでつれて…」

相変わらずぼそぼそと喋りゆっくりと行動する。

女が入っていったあとを付いていくとそこは研究所だった。


なにかわからない液体があちこちで沸騰している横を通ると人がいた。

「よう、あの泣き虫な神様が大きくなったもんだな」

「やぁ、レヴィ、30年振りだねまさか魔獣を召喚したら邪竜になってビックリするよ。」

フラスコを軽く振りながら振り向くとそこには老いぼれたおじさんの姿のロイがいた。

「研究者の真似事か?」

「真似事ではないけど形は大事でしょ。」

「今の姿を見るとお前の母は泣くぞ?まぁお前の母も神なのに人間に恋して子を作る変な神だけどな」

倒れていた椅子を起こしレヴィは腰かける。

「その母に負けて子守りを命じられて簡単に死ねないんでしょ。」

「ねぇ、レヴィまた私を守ってよ。白の神が面倒でね」

「なんだ、喧嘩でも吹っ掛けたのか、また」

「違うわよ!レヴィあなたが邪竜の姿で暴れたせいよ!!」

興奮しているのか言葉がおおきくなっている

「仕方がないだろ、あれは我にとっては餌場だ」

ロイが興奮して声が大きくなってるに釣られて返しがおおきくなる

「まぁ、拒否権はないのだろ、いいだろう守ってやる」

「ありがとうでは、これを飲んで」

ロイはフラスコの中身をコップにいれてレヴィに差し出す。

「なんだこれは」

「ほら、右手なくて不便でしょ?義手を作るための薬だよ。」

「なんだ、魔導書作りは飽きたのか幼いときはあんなにうるさかったのに」

「気分転換だよ、白の神がうるさくて作った魔導書をばら蒔けないから仕方がないでしょ」

レヴィは差し出されたコップを受けとり中身を覗くと腐乱臭がした

「うげぇ、これなにが入ってる」

「魔王スライムの体液と薬草とハーブを少々」

魔王スライムとはスライム種の中で一番強くから言われているだけで冥界では弱い部類だ。

人間界以外に住むものは嗅覚というものがないに等しい。

天界冥界に住まう者の嗅覚は個々に違う体から溢れる魔力でそいつはどんな種族なのか判別するのに使う。

「これを飲めと言うのか、人間というのは嗅覚があるから魔物とは臭いんだなって実感する」

「あなたも臭うかもよ?邪竜臭が」

「やかましい!」

おそるおそる口に付けたコップに角度を付けて嗅覚を止めて勢いで飲み込んだ。

「邪竜が恐れるものがあるんだね」

「恐ろしいのはお前の家族だ我はお前達の魔法を除去できない契約なんだぞ」

「でも、嫌なことしてないでしょ?」

「何を言ってる、お前は我が怖いからと人形にしただろあれは地獄だ動けない体でお前のままごとの道具にされてあとは…」

「そんなの忘れました」

レヴィの言葉を遮ってロイは言う。

「飲みきった?いい子。結果は後ででるから」

ロイはくるくる回りながら踊っている。


「あっ、レヴィここではあなたの名前はエースね。よろしく。」

「なぜ、名前を変える?レヴィもお前が付けた名前だろ」

「今ね、ここに13人の私のドールがいるのさっきの女の子がエイトで名付けて13個の人形トランプドールなの!作るの大変だったんだよ!レヴィが暴れてぐしゃぐしゃな人間の中から綺麗なのを探すの。あとあなたが13個目で1番!私は親玉のジョーカー」

「相変わらず、お前はよくわからん。」

「で、よくあんなのが護衛でよく生きていけたな」

ロイは研究所の端にある洗面台付近にある珈琲メーカーにスイッチをいれてコーヒーをコップに注ぎ一口飲む

「エイトは特殊なの。能力を使うと周辺を巻き込むから封印してるの」

「だから今はかわいいメイドさんなのかわいいでしょあの衣装私が作ったんだよそのために沢山メイド喫茶に行って勉強したのよ」

だからメイドの意味がわからない。

「しかし、エイトの技は我にもダメージを与えるものか」

「さて、そろそろいきましょ」

無視された。

目の前を通りすぎ出入り口の方へ歩いていき入り口のそばにあるパイプ椅子に座っていたエイトに行くよと声をかけてでいきそれに伴ってエイトがでていく。

おい、我を置いていくな。

ボソッと独り言のように呟き後を付いていった。

部屋をでるとロイは姿を短髪の女性に姿を変えていた。


しかし、広い建物だ現在は四階にいて階層ごとに7部屋あり、人間界の学校というのをもらってこの場に配置したのだという。全ての部屋に机と椅子があり所々私物なのか物が転がってるのは当時にこの学校に通っていたであろう人間達のもだという。

しかし、この狭い部屋に大勢の人間が集まり何をしていたのだが。

一階までおりると広々とした空間が広がっており上半身だけの人間の老いぼれの像のみがあった。

「ジャック!私とエースとエイトで買い物にいってくるね」

ロイはこの広間にあるひとつの部屋の窓に顔を乗り出して叫ぶと我とエイトに目を見ていこっかといい出口で履き物をはいた。

「エース素足ではいけないわよ」

棚から適当にロイが履き物を差し出してくる。

「まず、何処に行くのだ」

「人間界よ」

ロイは目を輝かせて我に向けてくる

「では、ここは人間界ではないのか」

「狭間です…」

小さな声でエイトが言う


狭間…人間界から魔界、天界、冥界へと通ずつ所我も狭間には来たことがあったが、今の何処を見ても外にはくさっぱらが広がっていた。

エースがいた時は乾いた大地が広がり、冥界への案内人の魔物が旗を振って死者を冥界へと案内していた。

「白と黒が争ってから変わったのよ神同士がここで争い死んで神それぞれに残った魔力を土が吸って草を生やしたのよ」

ロイが開いていた扉を閉めて白衣の内ポケットからじゃらじゃらと鍵の束を取りだしその中から青の石が付いた鍵を鍵穴に指してひねる。

カチャンと鍵の掛かった音がなると扉の磨りガラスは光を通していたのだが音がなった直後に暗くなった。


「では、行こっか」

ロイは右手で鍵を内ポケットにしまい左手にしまい左手で扉を開くそこには先程のくさっぱらではなく、ビルが立ち並んでおり回りを見ると人間が沢山いる。

 人間界だ。エースは初めて人間界に地に足を付けてその発展ぶりを見て驚いた。


「エース、ジョーカー様を見失います…」

 周りを見渡すとロイの姿はない。

 手首をつかんで引っ張ってくるエイトはなんて力だ。力を制限されているにも関わらずエースを引っ張れる力とは冥界にも片手で数える程度しかいない。

 引っ張られて歩くといにも数多くの人間にすれ違いすれ違うとかわいいなど姉妹なのかな等と言う声が聞こえる。


「ロイのやろう…」

エースとエイトは4尺程度しかお互いにない為、勘違いされている。

エイトに引っ張られていたがふと、エイトは足を止めた。

回りの人々も足を止めている。

「何があった敵か?」

「信号…赤信号…」

エイトは赤く光っている物に指を指す。

「何が赤信号だ」

エイトの手を振り払って歩きだした。

「エース!ダメ車」

勢いよく四角い箱が音をならしながら特攻してくる

 エイトの横で信号待ちをしていたスーツを着た男性が鞄を置きエースを助けにいこうとしたが

「お兄さんダメ…」

エイトがスーツの上着の橋をつかんで止める

「お嬢ちゃん、何をする!!引かれてしまうぞ」

男性はエイトの手をつかんで外そうとするがとてつもない力で外れない

その時、エースにスピードのでた車がぶつかった。

車は壁に衝突した時のようにボンネットまで平らに凹み、乗っていた者はぐったりとしている。

信号待ちをしていたものは固まっていた。何が起こったんだ、なぜ少女は無事なのか、なぜ車だけ大破したのか時間が止まっているかのように。

「なんだ、この程度か、ロイはこんなものに困っているのか、情けない」

服に付いた汚れを手で叩いておとす。

「エース…ダメ…」

エイトはポケットから丸い手の平サイズの物を取り出してそれを両手で握り


「ジョーカー様すいません…」

両手に持ったものを地面に叩きつけた。

それは、時計で床には秒針や歯車が散乱している。

「エース…行くよ」

エイトはエースの腕をつかんで歩きだす

「おい、赤信号だぞ」

「いいの…時間を破壊したから」

エイトはエースの右手首をつかんで再び引っ張っていった。

人が石像のように固まって動かない横を通りその先に動く人影があった。


「エイト、エース遅いわよ~」

こちらを見て大きく手を振るのはロイだった。

「ジョーカー様すいません…エースが車と衝突してしまい…時間を破壊しました…」

「あらら、ごめんねエイト、エースはこんなやつだけどよろしくね」

ロイはエイトの頭をわしゃわしゃと整っていた髪がボサボサになった。

エイトはロイの命令なのか目まで被る前髪をしていて今まで表情がわからなかったがかを赤らめている。

では、時間を戻さないとねとロイは顔の高さに手を持ってきてぱんぱんと手を叩いた。

すると止まっていた時間は動きだし人々が動き出す。


「では、もう一件行くとこあるから、」

 ロイは歩きだしエイトはいきますよと小声でいいエースの右手をつかんで引っ張る。

 もう、ついていくからよいといいエースは振り払って後ろを大人しくついていくのであった。

 目的地は大通りを外れて住宅がひしめく細い路地にあった一軒家だ。

 その住宅街では一際目立つ家で鮮やかな桃色の沢山咲いたバラの生垣で庭の道にそってバラのアーチやオベリスクで色とりどりバラで多い尽くされている。

 ロイはインターホンなどを無視して門扉を開けて家の中にはいっていく。

「エースここは…」

「かあさまー来たよー」

ロイはズカズカと家に入っていき叫び声をあげた

「おい、ここアロエのいえなのか?」

「そうです…人間のふりをして人間界にいらっしゃいます。」

 黒の神の最高神でありエースに勝った神である。

 だが、娘の失態に責任感をもって姿を消したと言われていた。


「お二人入ってきて」

 玄関の扉を半開きにしてロイは手招きをする。

 ロイの手招きどおりに庭を抜けて入ると家の中も植物が耐えない家であった。

「やぁ、お二人さんいらっしゃい。あら、レヴィあなたかわいい姿してるじゃない」

 家の奥から先の曲がった黒いとんがり帽子に黒いロングスカートで背中には四つの黒い羽をつけたエースが当時戦った姿と変わらない過去に神の中で一番美しいと言われたアロエがじょうろを両手でもっていた。

「なりたくてこの姿をしてるんじゃない」

「あら、ロイにいじられたのね」

「だって、かわいいのいいじゃん」

「ダメだよロイ、人間の体だってその人には親がいて大切にされていたのよ体を使わせてもらうならせめて見た目は大事にしてあげなさい」

「レヴィも戻してあげるから体大事にしなさい」

 アロエは手に持ったじょうろでエースに水をかけた。

 冷たい。

 一瞬目を閉じて左手をおでこにあてて視界から水の流れを避けさせると視点が高くなっていく水をかけきると京の姿になっていた。

「手は戻らなかったね」

「そのために来たのかあさまレヴィに義手をつくって」


「あの薬は飲ませた?」

「うん事前に飲ませてきた。」

 アロエはじょうろをおき空間に黒い闇を作りそこに手を突っ込んだ。

「たしか、ここに閉まったのよ」

 あれかな、これかなと闇から物をだして違うといい床に置きがらくたの山ができたときにあったこれこれと四角い箱をだしてきた。

「レヴィここに右肩をいれて」

それは一辺だけ真ん中に黒い穴があり奥が見えない

「なんだこれは」

「いいから、いいから」

 アロエは無理矢理突っ込んだすると中でなにか固いものが肩をさわる。それは次第に量が増えて重みを感じ構築ができたのか箱は爆発した。

 爆発のあとでてきたのは金色の義手で指を動かして手の平をさわると感覚がある。

「感覚がある…」

「それは、一体化したからね」

 アロエは先程出したガラクタを闇に片付けつつ言う。

エースはできるのではないかと一瞬よぎり右手に炎を一点集中し黒い炎がでた。

炎は温度が高いのか触れてないが側の植物に燃え移り手を握り炎を消した。

「ちょっと炎はだめよあなたの炎は消えないんだから」

「すまん、やってみたくなってな」

 エースは燃えた植物に魔力を送りもとに戻した

「これはいいものだ。義手が我が炎に耐えるとは」

「それは、その体が強いおかげねよく見つけたね」

確かに、我が炎で右手の損失ですんだこの体はすごい。

「取引をしたからな。こいつの魂はさぞいい暮らしをしてるだろう」

「何処に送ってやったんだい」

「お前と戦ったところだよ」

「あら、レヴィがロイちゃん以外に気になる者がいるたはね」

「うるせぇ、別にお前らを気に入ったわけではない契約だからな」

「あらら~レヴィ顔が赤いよ」

「うるせぇ、親子でからかうな」

この狭い空間に賑やかな笑い声がひろがりすみに潜んでいた精霊たちがそれを見てクスクスと笑うのであった。

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