2-1 頭上の

 頭上の光源は大きく三つ、小さく二つ。

 それをみればここが元いた地球ではないことがよくわかった。

 第一サデン、第二コートル、第三メソバ、第四アルロロ、地球で言うところの太陽に相当する四つの光源を大きい順から指をさして数えていく。

 そこそこ大きな質量保持者が頭上にこれだけあってどうしてこの世界は見る限りは正しく機能しているのか疑問に思うが、この世界でそれを真剣に考えている人ははたして自分においているだろうか

 四つのそれらが放つ熱波。降り立ったこの地域は際立ってその威力を実感できる場所だった。

 ジリジリと肌が焦げていく。比喩抜きで。

 対策らしい対策皆無で踏み入れていい場所ではなく、きっと自分でなければ早々に干からびていただろう。

 とはいえ、ブランクを感じる体である。

 息は苦しく、体はだるい。さらに魔力もろもろ制御が難しい。

焦がすような日差しを遮る物は何もなく。ただ晒されるがまま、目的地なくひたすらに歩いている。

 それでも。

 それでもだ。

 心は子供の頃、夏休みの初日を迎えた朝のように踊っている。

 さぁここはもう、異世界だ。

 と。


「とは言えまいった、どうしたもんか」

 かつての冒険でこの地域は来たことがあった。天嶺砂漠地域、それがここだったが砂漠地域であるが故にかつてと変わりなく見えるが、変わりなく見えたところで方位がわかるでもない。

 一週間。多めに見積もっての生存時間と予測する。

 存外早く訪れたデッドラインである。

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