第5話 至高の神絵を作るぞ(笑)

 神絵師になって無双している、俺のやりたかった大仕事。

 それは、この時代で神絵と呼ばれている絵をかけあわせて、「究極にして至高の神絵」を作ることだ。

 理論上は神絵と神絵を組み合わせて作った絵に、さらに別に組み合わせた神絵をかけあわせる、そうすることでもはやオリジナリティに溢れる完璧な神絵になるはずなのだ。


 まずはこれとこれを混ぜてみるか……。

 良さげだと思った二枚の絵を、AIに学習させる。うん、いい感じ。

 さらに二枚をAIがかき混ぜてくれる。これも悪くないな。

 この新しく生まれた二枚を合わせれば、さらに良くなるはずだ。


 ――最初はそれで良かった。

 だが、AIに何度も何度も絵を描かせているうちに、だんだんおかしな具合になってきた。


 何故か、どんどん絵の形が崩れていくのだ。


「あれ……? なんでだ……?」


 俺はAIを修正しようとするが、人工知能なんて素人の俺に触れるようなものではない。

 あとから知ったのだが、AIが作ったものだけを無限に組み合わせていくと、たとえば最初から甘かった手の描写なども繰り返し自己学習してしまい、どんどん絵が崩れていくのだという。


 俺が一生懸命神絵をかき集めて作ったAIは、自壊してしまい、もう元に戻せなくなった。

 今までの苦労が水の泡。絵で仕事ももうできない。俺はパソコンの前で呆然としてしまったのであった。


〈続く〉

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