第4話 俺に嫉妬した絵師に叩かれた(苦笑)

 ネット上でAIを使って無双している俺にも、とうとう「アンチ」ってやつがついたらしい。

「アンチがつくのは人気者の証」なんて話も聞くが、まさかこんな俺も人気者の仲間入りを果たすとは。

 まあ、神絵師だからトーゼンだけど(笑)。


 アンチどもの嫌がらせは、まず俺にあててコメントが大量に送られてきた。


「AI使ってるくせに、自分の手柄みたいな態度をとるな」


「他人の絵を盗んで描いた絵で食べるメシはうまいか?」


「絵描きの絵を勝手に魔改造して送りつけるのはやめたほうがいいと思います」


 ……はぁ。こういうコメントは見るだけで鬱陶しい。

 アンチのただのやっかみだ。相手にする価値もない。

 俺はアンチコメントを送ってくるやつを片っ端からスパムとして通報した。


 意外に思ったのは、俺に文句をつけてくるアンチの中には、当事者である絵描きもいたということだ。


「私の絵を勝手にAIに読み込ませるの、やめていただけませんか?」


 コイツ誰だっけ、と思って名前で検索すると、たしかにAIに学習させるときに取り込んだ絵を描いていた絵師だった。

 この人は、どうして怒ってるんだろう? 俺が学習元に選んでやったのに、何が不満なんだ?

 さすがに、俺もなにか言い返したくなった。キーボードを叩く。


「勝手に吠えてろ。俺はお前らの絵を喰って至高の絵を描く。お前らは俺の養分になるんだ、光栄に思え」


 それだけ言って、その絵描きのこともブロックした。

 なんだか、絵描きも絵描きのファンも怒り狂って学級会を開いているらしいが、俺にとってはもうどうでもいいことだ。

 俺には同じAI絵師の仲間もいるし、副業のイラストレーターの売上も上々だ。そこらのアマチュア絵描きでは味わえない、充実した生活。


 そして、俺は絵の道を極めるために、「究極にして至高の絵」を作ることにしたのである。


〈続く〉

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