第36話
ただ置手紙だけして
そして、化粧も一切していない。飾りっ気のないただの女性となっていた。
荷物は少なく、今は
そして太刀が二振り、これも部屋の隅に置いてある。
振り分け荷物の中には二百両ほどの両替をした
今、
どこにも傷、刃切れはない。
夕刻になり、夕食が運ばれてくる。茶碗一杯の白飯と味噌汁、|鰈かれいの煮付けに香の物がでてきた。時雨はそれをゆっくりと食べる。今日はどこにも行くつもりはなかった。少しゆっくりとし、明日以降動くつもりでいた。
これが当面の
証拠は関係ない。
自分の目で見た。ただそれだけで良かった。どこまでの人物が関係しているのかは分からないが、
翌朝目を覚ますと身だしなみを整え、太刀を差して階下へ降りる。
「すまないが、部屋を二日ほど貸し切りにして欲しい。部屋には誰も入れないでくれ」
目指すは日比谷。そこに
一度は侵入しある程度は把握しているのだが、侵入経路と脱出経路の確認は必要だった。前は行き当たりばったりで侵入・脱出をしたからだ。
今、
見世物小屋に入り、茶屋で団子を食べ、蕎麦を
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夕刻、日が暮れ始めると
武家は夜間の外出が制限されているため
前回、犬がいたため懐の中から
前回と違い着物ではないので動きは楽だ。
(……隠したか?)
(国元へ帰ったか?)
しかし、江戸家老は残っているはずだ。それが
(あそこか)
三名の女中の内、一人が反応し立ち上がりかける。
しかし、三名とも立ち上がることはなかった。一人の口を左手で塞ぎ、立ち上がり掛けた女中の首を
手から長刀が滑り落ちる。女中の胸から太刀を引き抜くと、左手で口を押さえている女中に向き直った。女中はすでに死んでいた。口を押さえたつもりだったが喉を掴んでおり、口からは血が溢れていた。頭がだらしなく傾いている。念のため女中の首を
闇の中、何が起こったかもわからず、次々と女中達は命を絶たれていく。女中が集中していた部屋の最後の一人を時雨は生きたまま捕らえていた。
「ここは、
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