第24話
「おぃ、
「すげぇ歌らしい」
その話はすぐに吉原中を駆け巡った。
徐々に客が入り始めている。
しかし、
もう二刻近く休みなしで歌っている。聞いてくれている者には分からない程度に声がかすれ始めていた。曲の種類もほとんど残っていない。
その時、声を被せるように歌が始まった。
歌を重ねながら
周りから拍手が起こる。
「よっ!
「よっ!
特に町人達では一生に一度しか聞けない、いや一生かかっても聞けない
それは
この競演が功を奏したのか、
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「ばっかやろう!
お前達は
安売りするもんじゃあねぇんだ!」
裏の部屋で
あの、いつもにこにこしていて、言葉遣いも丁寧な
二人は立ち上がり頭を下げて部屋から出ようとした。
「ありがとうよ。助かった」
聞き取れるか聞き取れないかという小さな声が、二人の背中にかかる。部屋を出た二人は顔を見合わせ、にやりと笑いそれぞれの部屋へと戻っていった。
それから七日、
その噂は吉原だけではなく江戸中に広がり、男衆だけではなく女達も見物に来ていた。瓦版もこぞって取り上げ、大店のお
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「何故客が増える!」
一人は旅の商人風の男、もう一人は
「いや、あのような奇策に出るとは思いませんでしたので……」
商人風の男が口を開いた。
「ふぅ~。
「いやぁ、私は面が割れていますから」
「では、あっしが」
「
「そう言われましても、まぁ、やり用はあります。少し無茶をしますがね」
江戸での販路を開くのが
「
「あ、あれを使ってもよろしいんで? どうなるか分かりませんが……」
「うちが扱うすべての品を使って、操り人形をこさえてみよ。
失敗してもかまわんぞ」
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「申し訳ないですな、今、
「なんでしゃ。わて、
どうやら
そこへ
「少々お待ちくださいませ」
「
「
ここはあちきが引き受けますんで……。ただし一回こっきりということを伝えておくんなまし」
そう言って
「お客さま、実は……」
客は暫く唸っていたが、それで手を打つということで話は付いた。男は
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