第22話
「ご存じでしたら教えていただきたいことがございます」
「なにが知りたいのですか?」
実は……。
話は
最後に、教えてやると言われ、見せられた技が全く見えなく、理解できなかったこと。
「私が未熟なため、教えていただいた技が全く理解できませんでした!
お
実際使える。
溜息だ。
正直手取り足取り教える気もないし、教えたところでどうなるものでも無い。単純に理解できるかどうかの問題なのだ。
暫く経って
「まぁいいけど」
「そっちの端に行って、私をよく見ていて。もちろん斬り合いのつもりでね。斬りかかれそうならいつでも動いて。
ただし、静かにね」
二人はお互い部屋の両端に移動する。
そこで向かい合った。
突然
唇の感触を感じたとき、
「!?」
唇を塞がれているので言葉を出すことすら出来ない。唇を舌が
何が起こったのか理解できない。あの
「どう?わかった?」
唇を離した
「……いえ。何が何だか」
「あれはね。
さっぱり分からなかった。聞いたこともない言葉だ。
武芸の書物は数多く読んでいたが、一度も見たことはない。剣術や武術の師匠達からも、話としても聞いたこともなかった。
「あー、やっぱり分からないよね。
まぁ、実戦では使えない技だしね。大体
そこまで言ってくすりと笑った……ような気がした。
単純にいえば相手に動きを読ませないということらしい。
先の先とは少し違う。
先の先は相手の動く瞬間を見極めて動く。それは相手を十分に観察していればある程度はできる。
ちょっとした動作、ちょっとした呼吸の
ちょっとした動作、ちょっとした呼吸の溜、
それだけだ と時雨は言った。
出来ない……。出来ない?出来ない!
それだけが思考の中を支配していた。
あえて近い概念と言えば、
ただこれは心を無にして動揺しないという考え方だ。それを人を殺す技に応用する。一見似通ってはいるが、全く違う物だ。
(出来るわけがない)
「
無理して習得しても奇襲に使えるくらいだからね。特に集団を相手にしたときは絶対駄目。囲まれて殺られるだけだよ。
それよりも、もっと
「
乱世を体験していないあなたとは根本的に違うの。多くの人を斬り殺すことで出世できる世界に生きていたんだから。
それもただ一人を殺すだけではなく、同時に何人も相手にする。飛び道具もあれば
今の世の中の人たちでは決して追いつくことが出来ない世界の住人よ」
そこまで言って起き上がった。長い髪が揺れ、
部屋の中に冷気が漂いだす。同時に吐き気も襲ってくる。
あの夜、お
「私はね、それを越えてしまったの。
理解も出来ないまま。
あの人達は成長しながらその力を身に付けていった、だから共に生きることが出来る。でも私は支配されてしまうの。共存する術を知らないから。あのときのように……」
それは想像を絶する出来事だった。
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