第12話
二日後、お
時雨は道中の
そしてもう一つ贈り物をした。
手持ちの武具がなかったお
あの後、昨日の夜まで二人は互いを貪り続け、今朝は一緒に目を覚ました。
そして二人で泣いた。
送り出した後、
今は夕刻、まだ一人として客は取っていない。二人ほど
そのような日が三日ほど続いたあと、事件は起こった。
昼時、ばたばたと廊下を走る音が聞こえ、近づいてくる。その足音は
「
半分悲鳴のような声だ。相当焦っているようすだったので
「……なんでありんすか」
お京はぜいぜいと肩で呼吸をしていた。額にも汗がにじんでいる。
「ぜ、
特に
それでも接客は良い。
だから
「お京さん、そんなに慌てることでもないでなんしょ。
あまり興味がないという風に
「……お京さん。何をするんでありんすか。事によっちゃぁ容赦いたしんせんよ」
「殺ったのは……、殺ったのは
一瞬だけ
「
「
消え入るような声でお京は事実を告げた。気が抜けたようにへたり込む。
「あの、あの
なぜ
また、
その後、
今は
着替えを済ませた時雨は新調した琴の
一振りを帯の中に、もう一振りを腰に巻き付ける。一振りには
髪を結わず流したままなので、ぱっと見は長髪の若侍に見える。
「行ってくる。お京さんは暫くここで休んでて。
今、
そのままお京を残して部屋を出て、階下へと降りていった。
番頭も事件の話は聞いていたらしく、時雨の客を帰すこと、部屋に
「このことはまだ他のみんなには隠して欲しい。もっとも来た客が吹き込むだろうけどね。
いっそ休みにした方が良いかもしれないが……父様がいないからね。番頭さんとお京さんの判断で
じゃあ」
そこらにいた
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側には
「済まないが
そう言った
「おぅ、
しかし、その態度はすぐに
「ま、まて。わかった、わかったから抜くんじゃねぇ」
「うちの父様は今どこにいる?
それと
目をあちらこちらに走らせ、考えをまとめているようだ。
「あー、
おやじも出てきている。それと
そこまで言って言葉を切った。額にうっすらと汗が浮かんでいる。
「遺体はまだ見れない。多分無理だ。
ま、まて、怒るな、な、
暫くして
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