100yen デス・ゲーム

秋晴ライヲウ

第1話 ただ金が欲しかっただけなのに

 俺は金に困っていた。

残業込みで1日10時間働いても散財する性格が禍いして万年金欠だった。

バイトも月50時間、タバコは吸わない、酒も下戸だ、ただギャンブルに目がなくスロット、パチンコ、競馬に競艇、競輪に宝くじと賭け事は全部手を出した。


『いつか当たる為の投資』冗談ではなく本気で周囲に言いまくる程のギャンブル依存症。

そんな俺のもとにショートメールでこのゲームの案内が届いたのはひと月前の事だ。


『当選おめでとうございます【無人島で24時間生き残れたら賞金1000万】こちらのゲームへの当選が決定いたしました。つきましては以下のURLから参加者登録をお済ませ下さい。』


怪しいとは思ったが、メールには航空券とホテルのチケットも付いていた。

金欠生活が長かった俺は常時サバイバル生活ともいえる暮らしをしている。

勝てる自信があると決意を固めて参加者登録を済ませた。


島に向かうチャーター船の待ち合わせ場所に着いた俺は既に到着していた参加者と顔を会わせる。

『俺が最後かな…』

俺の到着を最後に関係者らしい男が参加者を呼ぶ。

『全員、揃いましたね?これよりチャーター船に乗船していただきます。申し遅れました私ご案内役のウチムラと申します。』

参加者は俺を含めて6人、女が2人、男が4人だ。

『まぁ…1日だけですが皆さんで自己紹介をお願いいたします。』


筋肉ムキムキマッチョの男はダイゴという。


茶髪でクルクル巻きのギャルのような女がアケミ。


背の小さい眼鏡がの男がマコト。


ショートカットの黒髪がチアキ。


ヒョロっとしたイケメンがヒロタカ。


そして、1番冴えない普通の男が俺だ。



船内でウチムラという関係者からゲーム用のウェアに着替えるように言われ、承諾書へのサイン、振込み口座の作成などを行った。

『それでは主催者からルールのご説明がありますのでこちらのモニターをご覧ください。』

ウチムラはそう言うとノートパソコンを参加者たちに向けた。


『ようこそ、お待ちしておりました参加者の皆さま、私はこのゲームの主催者フクザワと申します。これからあなた方6名はこの先の無人島で24時間のサバイバルゲームに参加していただきます。ルールは簡単、今からお配りする【100円を使わないで生き残る】ただそれだけでございます。』

主催者のその言葉を聞いた直後、ウチムラが器に乗せた100円玉を6枚運んでくる。

疑う顔をしながらも6人はそれぞれ1枚づつ100円玉を受け取った。


『普通の100円玉だな…』

ヒロタカは100円玉をじっくりと調べてからそう言った。

『何だ…楽じゃねぇか』

ダイゴが肩透かしを食ったように言う。


『左様でございます…クリアするだけならば味気無いルールで御座います。しかし、それではあまりにも面白味がない…そこで【ボーナスミッション】をご用意しております。』

『ボーナスミッション?』

一同が声を揃えて言う。


『1時間毎にひとつ、ボーナス賞金のついたミッションを発表いたします。それを一番最初にクリアした参加者には賞金1000万円のボーナスを支給いたします。』

『マジ?』

船内はザワ付き欲深い目つきに皆変わる。


『ちょっと待って…1時間毎に1000万円って全部で2億4000万円って事?』

チアキは素早く計算をして獲得出来る金額を口にする。


『これはゲームを盛り上げて頂く参加者皆様への私からの景気づけで御座います。是非トップクリアを目指して頑張って下さいませ。』

歓喜の声が船内に響いたが主催者から【ある条件】が言い渡された。


『ただし、条件が御座います。やクリアタイムが4回最下位だった参加者さまは、その時点で【失格リタイア】となります。』


『なっ……』

参加者6人は誰もその後の言葉が続かなかった。

更に主催者は賞金に関するルールを説明する。

『尚、リタイアされた参加者さまが受け取る予定だった1000万円は残りの参加者さまへ分配されます。』

賢い者は気付いた。

『それって…』

マコトがその後の言葉を言う。

『3億円を総取り出来る可能性があるってこと?』


『その通りでございます。』

参加者全員の顔つきが変わる。

『このゲームは3で御座います、皆さまにはゲームの状況を管理する為のスマートウォッチと体調を記録するバイタルメーターを着けていただきます。』

ウチムラが再びスマートウォッチとバイタルメーターを運んでくる、バイタルメーターはチョーカー型のおしゃれな装置だった。


『何だこれ……外れないぞ』

スマートウォッチを腕につけたダイゴは取り外せない事に気づく。

『え?ちょっとッ!このチョーカーも外れないじゃない!』

アケミもチョーカーが外れない事に気づき慌てる。


『ご心配はいりません。規定の24時間後に自動で外れるようになっております。さぁ、間もなくゲームのはじまる無人島に到着いたします。皆さまのご健闘を期待しております。』

フクザワのモニターが砂嵐に変わりザーッという音だけが船内に木霊する。


あまり間をおかず船は速度を落としやがて停止した。

『お待たせいたしました、到着で御座います。』

ウチムラの案内で6人は船外に出る、想像以上に何もない島のようだ。

桟橋の先には小屋とも納屋とも云える建物が見える。


下船をして桟橋を渡り始めると船は離れていった。

『しかし…こんな無人島で100円を使うことなんてあるのかよ。』

ダイゴが手で陽射しを遮りながら言う、時刻は間もなく正午になる真上から照りつける陽の光は流石にキツい。

『なぁ…アレ見てくれよ。』

ヒロタカが指差しをして皆を呼ぶ。

『んぅ?アレって……』

チアキは駆け寄っていく。

『ちょっと…何でがあるのよ!!』

アケミが叫び、マコトはゆっくりと自動販売機に近づくとじっくりと調べ始める。

『この自動販売機はバッテリー式のようですね…見てくださいソーラーパネルもついてますよ。』

自動販売機はしっかりと機能しているらしく冷蔵用のファンが回っている音が聞こえる、公衆電話の方も同じ仕様のようで使えそうだ。

『これ見ろよ…全部100円だ。』

ヒロタカは自動販売機の品を舐め回すように品定めしている、炭酸飲料、コーヒー、栄養ドリンク、温かい飲み物、チョコレートやスナック菓子、カップラーメン、おにぎり、何でも揃っている。

『医薬品まであるわよ…』

『どれもひとつ100円…』

みんな思う事は同じだった、は必要ないと感じるかもしれないが24時間後にはが必要になるかもしれないという不安。


ボーナスミッションが始まるまで桟橋周辺を探索した、野宿をするのだ使える物は確保しておきたかった。

しかし、海に囲まれているというのにゴミひとつ見つからない、まるで誰かが事前に掃除をしたかのように。

『ダメだな…本当に何もない。』

『これじゃ本当にサバイバルじゃないか…』

期待外れな状況にみんなのテンションは少し下がっていた。

『誰か木でも倒して薪でも用意してよ、まだ9月だけど夜は寒くなるわよ。』

アケミは髪の毛を弄りながら他人任せに言う。

『素手でか?馬鹿言うなよ。』

『あら…筋肉の割りに弱音を吐くのね。』

『何だと!!このアマ!』

自慢の筋肉をバカにされダイゴはアケミに本気で怒る。


ピーッピピッ ピーッピピッ

一斉にスマートウォッチのアラームが鳴る。

液晶画面に【ミッション5分前】の文字が表示される。

ダイゴとアケミも喧嘩どころじゃないとばかりに距離をとる。


しばらくしてスマートウォッチからフクザワの声が聞こえる。

『お待たせいたしました、ボーナスミッションのクリア条件を説明いたします。――第1ミッションは【早登りフラッグ奪取レース】で御座います。』

スマートウォッチの液晶に簡易地図が表示される。

『地図上のポイントに黄色いフッラグがあります。それを手に入れ近くにあるボタンを押してチェックインをして下さい。尚、タイムリミットはゲーム開始から15分後となっております。皆さまのご健闘を期待しております。』

フクザワの声が消えシーンと静まり返る。


チアキが液晶を見ながら気づく

『このポイントって…後ろの丘じゃない!』

これにいち早く反応したのはヒロタカだった、ほぼ同時にアケミも動く。

一瞬遅れてダイゴとチアキが追う、俺とマコトは少し遅れた。

『クソッ油断したぜ。』

出遅れたがダイゴはぐんぐん加速して坂を登っていくいく、見せかけの筋肉ではない事を自ら証明してみせたのだ。

『おおぉぉぉぉぉッ!』

雄叫びと共に爆走するダイゴは俺の視界から消えそうだ。

『早すぎる…』

『何だよアイツ。』

この時点で俺とマコトは先頭集団から離れすぎてトップでのクリアは無くなった。ヒロタカはなんとかダイゴに引き離されないと食らいつく。

少し遅れてチアキが追いアケミも急ぐ、俺はこの4人の背中を見ながら必死に駆け上がる。

マコトはたぶん俺より相当後方にいる気配を感じないのだ。


『ヨッシ!!やったぜ!』

予想通り一着はダイゴ、その後ヒロタカ、チアキ、アケミ、俺そしてマコトだった。

マコトがゴールするとフクザワの声が聞こえる。

『おめでとうございます。トップクリアのダイゴさまに賞金1000万円を入金いたします。』

スマートウォッチの液晶でダイゴの獲得賞金が1000万円に変わる。

『そして、最下位のマコトさまにはペナルティポイントが1ポイントとなります。』

マコトの名前が黄色に変わり本人は苛立っている。

『それでは次のミッションまでお待ち下さい。』

フクザワの声が消え再びシーンと静まり返る。


『こんな体力勝負なんて勝てるわけ無いじゃないか。』

マコトが怒りを爆発させて怒鳴る。

『まぁ…まだ1回目だ、そんなに気にするなよ。』

ダイゴがマコトを宥めるが火に油を注ぐ状態だ、ヒロタカやアケミに関しては興味を示さず気にもしていなそうだ。

チアキは悔しかったようでダイゴを睨みつけている。

『次は頑張ろうぜ。』

俺はマコトを励まして少し休む、時間は正午を過ぎた頃だ9月の気温はまだ高く全力で走れば汗をかく、みんな日陰に入り体力を温存するつもりのようだ。


しばらくして再び次のミッション開始を伝えるアラームが鳴る。

『お待たせいたしました、第2ボーナスミッションの説明をさせていただきます。次のゲームは――』

俺はフクザワの話しを遮った。

『ちょっといいか?』

『――…何でしょうか?』

『このボーナスミッションは確か即時に失格リタイアになるんだったよな?』

『…左様でございます。』

『それはどうやって判断されるんだ?』

『今お使いのスマートウォッチのGPSやバイタルメーターを元に動きがないと判断した参加者さまや、ゲームを放棄している参加者さまはゲームに参加していないと判断してその時点で失格となります。』

『なるほど…わけか。』

スマートウォッチから聞こえてくるフクザワに聞こえるように俺は話しかける。


『おい、俺も一つ聞きたい。』

ヒロタカがフクザワ返答を待たずに続ける。

『制限時間内に誰もクリア出来なかったらどうなるんだ?』

『…トップクリア者が居ない場合はを行い1番クリアに近い者がトップとなります、同じく最もクリアから遠い者が最下位ペナルティを受けます。』

しっかりとしたシステムのようではなさそうだ。

『それでは説明を続けさせていただきます。次のゲームは【火起こしタイムアタック】です。制限時間は30分ルールは簡単です、最初に火を起こし桟橋にあるランタンに火を灯した者がトップクリアとなります。』

『ひ、火起こし…』

アケミとチアキは同じようなリアクションとる。

『ランタンは6つありますのでお好きな物を選んで下さい。それでは皆さまのご健闘を期待しております。』

フクザワの声が消えた。


みんな一斉に散り火起こしをする材料を集め始める。ゴミ掃除もされていたような島だ漂流物など期待できない、焚き付けする枝や着火剤を少しでも集めた者が勝つと6人ともわかっていた。

『とりあえず薪になる枝と火が着きやすい物を集めないと…』

俺は木の多い森に目をやったが既にアケミとダイゴが掻き分けながら探している。

チアキは先ほど居た山の方向へ探しに走り、マコトは近場の海岸沿いを歩いて拾うつもりのようだ。

『…あれ?ヒロタカが居ない。』

たしかゲームスタートと同時に桟橋方面に走っていた事を思い出した。


直感で俺も桟橋の方へ向かっていた。

桟橋近くの小屋っぽい建物の近くでヒロタカが何かを集めていた。

『やっぱりな。』

ヒロタカが拾っていたのはだった。

最初に到着した時に小屋の周辺に松があることを覚えていたのだ。

そして、このは火付が良い。ヒロタカは一緒に枯れ枝も拾っていた手際が良い。

『おっ!来たか、まだそこら辺に落ちてるぜ。』

ヒロタカは余裕を見せて火起こしの準備に入る、まず程度の良い石で風よけを造り、枯れ枝や枯れ葉を敷き詰める、次に杉や松の樹皮を剥ぎ、乾いた丸い枝と曲がっている枝を用意する。

適度な石同士をぶつけて割り鋭利な断面を刃物として使い剥いだ樹皮を擦る、點さくれるように剥がれた部分を火口として使う。

曲がっている枝に靴紐をになるようにしっかりと結ぶ。

その弓の紐に乾いた丸い枝を一周巻き付けて火起こし棒とする。

石の刃物で樹皮の端に凹みを造る、その凹みに乾いた砂を少量入れ火起こし棒を凹みにセットする。

火起こし棒の天上を適当な板で抑え弓を引いていく。

最初はゆっくりとストロークを長く引く、そして焦げ臭い匂いがするまでずっと弓を引き続ける。

煙があがったタイミングで火種を火口に落とし、息を吹きかけながら薪に火を移す。

『ヨシ…ついた!』

ヒロタカは火付の良い枝を持ってランタンに挿し込むと明かりを灯した。


俺はヒロタカの行動を見ていて羨ましいという気持ちと尊敬するような複雑な気持ちを抱いた。

『へっへへ…邪魔するぜ』

ダイゴとアケミ、そしてチアキが集めてきた枝を手に持ってヒロタカが着けた火を借りて着火していく。

『おい、何をしてるんだ?』

『何って…を借りてるんだよ。』

『そんな事ダメに…』

『あら…主催者はって言ったのよ?』

『方法に関しては何も言ってないじゃない。』

正論だと思った。

俺も慌てて枝に火を着ける、幸い俺の枝は乾いていて直ぐに火が移った。


5人が着け終わるとアラームが鳴りフクザワの声が聞こえる。

『おめでとうございます。ヒロタカさまがトップクリアでございます。――そして、最下位のマコトさまにはペナルティポイントが追加され2ポイントとなり、後2ポイントで失格リタイアとなります。』

フクザワの声が消えた、喜ぶヒロタカにチアキが聞く。

『ねぇ?なんであんな火のつけかた知ってたの?』

それは俺も聞きたかった事だ、明らかに素人ではなさそうだった。

『昔キャンプが趣味だったからさ。』

本当にそれだけだろうか、子どもの頃ボーイスカウトに参加していた俺以上の知識と熟練度だった。

それでも火起こしの瞬間を見ていなかった他の連中はその説明で納得してしまった。


しばらくして暗い顔と肩を落としてマコトが戻ってきた。

『遅かったじゃないか。』

ダイゴが声をかけるがマコトは無視をする。

『おい――』

ダイゴがマコトに更に声をかける。

『うるさいんだよ!このリア充がッ!』

キレたマコトはまるでそのまま刺し殺すのではないかと思えるような鬼気迫る表情と怒号だった。

『ハッハハー!惨めそうですかー?大丈夫デスヨー!慣れてますカラー!ヘラヘラ笑っていられるほど余裕が無くてゴメンナサイねーッ!!!』

興奮し過ぎてマコトの眼鏡が曇り始めている。

『まぁ落ち着けよ。』

『落ち着くだって?これを見ろよ?スマートウォッチの僕の名前はだッ!』

確かにマコトの表示が赤色に変わっている。


『まぁ待てって…マコトは居なかったから知らないかもしれないが、誰かが起こした火を使えたって事はこのゲームは協力も出来るんじゃないのか?』

俺は宥めるように言い話しを続ける。

『賞金はそうだろう?』

皆が首を縦にふる。

『1人3回まで最下位になっても大丈夫なんだ…6✕3=18、つまり18回まではトップ以外で最下位を交代しながらゲーム出来るってことだ。』

『それに何の意味があるのよ?』

アケミは傷んだ毛先を気にしながら俺の提案を否定する。

『其々が得意な分野のボーナスミッションが出る可能性はある、事実1回目と2回目は全く趣向が違うゲームだった。18回もチャンスがあればんじゃないのか?』


『それは無理がある提案じゃ無いの?そのよ。トップを取り続けた者がいた場合、その数値より遥かに少ない値で失格する者が出るわ。』

チアキは俺の提案のを的確に指摘してきた。

この女は先ほどから計算高く頭が良い。思えば船上で金勘定も早かった。

『じゃぁ…出来る限り最下位をローテーションするっていうのはどうだ?苦手分野が5回出た場合それがセーフティーになるかもしれないぜ?』

この提案は否定する者が居なかった。



それから数回ボーナスミッションをこなして分かった事がある。

マコトは1番このゲームに向かない参加者だ。

取り柄と言える部分が無く体力勝負を要するモノはダントツで成績が悪く、頭を使うミッションも見た目以下のド低脳ぶりを発揮する。

ダイゴは見た目通り体力や筋力系に自信があり、ずる賢いタイプで勝負には強い。

アケミはまずまずの体力があり、意外と優しい部分もある、そして見た目のわりに知性派だ。

ただ、面食いな性がありヒロタカを若干意識している。

そのヒロタカはそれなりに運動神経が良く機転が利くタイプなようだ。

誰も知らなそうな知識や技術を持っており参加者の中では比較的常識人だ。

だが、女好きな性格らしく暇があればアケミとチアキを口説いている。

チアキは結構動けるタイプで運動神経はかなり良い、金勘定が得意で控え目に言って性格はかなり悪い。

俺は平凡中の平凡でマコトが可哀想だと思い既に3回最下位を交代している。


『次のボーナスミッションは私なりにを凝らしたゲームになっております。――題して【当たって砕けろ】でございます。』

流石に疲れが溜まってきた参加者たちは笑う気もツッコむ気力もなさそうだった。

『今から自動販売機の【無料】ボタンからが出てきます。このの中から【当たり】を引いた参加者さまがトップクリア扱いとなります。それでは…どうぞ愉しんで下さいませ。』

フクザワの説明通り自動販売機の【無料】ボタンが使える状態になっていた。

参加者全員がボタンを押す。

取り出し口から出てきたのは30枚一纏めにされたよく見るタイプのスクラッチくじだった。

順番が最後だった俺はくじを受け取りアケミの近くに腰掛けた。

『ちょっとやだ…ネイルがボロボロじゃない…』

ここまで何時間もゲームを続けてきて綺麗だったアケミのネイルがボロボロだ。

いや、俺も爪がボロボロだ。

『やだ…削れないわ。』

チアキの爪は俺以上にボロボロで指の皮もふやけて剥けていた。

ダイゴとヒロタカは黙々とスクラッチを削ってハズレくじの山を築いていく。

『こうやって削れば良いんだよ。』

俺は宝くじは結構好きだ。ギャンブル性は低いが片手間で賭け事が出来るのは良い。

俺はポケットから硬貨を取り出して銀色の部分を削り手本を見せた。

ピーッ!

俺のスマートウォッチが鳴る、液晶には【失格リタイア】と表示されていた。

ボンッという音共に眼の前が暗く何も見えなくなった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あとがき


読んでいただきありがとうございます。


短編のミステリー(?)として書かせて頂きました。


評判が良ければ【連載中】として続きを執筆したいと思います。


起承転結 を意識して書いていますが、やはり難しいですね。

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