009
「先生ってどれも同じ顔に見えない?」
「紗良ちゃん、よく見てよ。全然違うって」
「うーん」
弓香に言われ改めて先生の顔を観察してみる。と、海斗のクラスの担当である滝本先生は他の先生に比べて確かに綺麗な顔をしているような気がする。それに男性らしく大きな背中に引き締まった手足。
あれはプロテインのおかげなのか、はたまた普通の男性はみんなあんな感じなのか、紗良にはさっぱりわからない。
ただ、ほんの少し、かっこいいかもと思ってしまったことも事実で。
今までそんな目で先生を見ていなかった紗良は、急に心臓が変な音を立てて騒ぎ出す。
(違う違う、そういうことじゃなくて)
慌てて目線を海斗に戻し心を落ち着けていると、弓香がカラカラと笑いながら耳打ちする。
「でも私は滝本先生より小野先生の方が好みかな」
「もー、そんなことばっかり言って、旦那さんが怒るよ~」
「あっはっはっ! 内緒ね~」
悪びれることもなく明るく笑う弓香につられて、紗良も一緒になって笑い転げた。
だけどこっそりと、
(私は小野先生よりも滝本先生の方が好みかな)
なんて思ったりもして――。
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