008

翌日のプール教室は午前十時半から。


保育園で知り合ったママ友の弓香と観覧席でおしゃべりをしながら、紗良は子供たちの様子を見学していた。


弓香は紗良よりも十歳も年上で、子どもは二人。上のお姉ちゃんはもう小学校六年生という子育ての大先輩だ。


紗良と弓香は保育園の送り迎えの時間が同じで、挨拶を交わすうちに仲良くなった。歳の差なんて気にしちゃだめよとフレンドリーに接してくれる弓香のおかげで、頼りになるありがたい存在だ。


「海ちゃん順調だね。もー、うちなんてまだまだ顔付けがダメでさー」


「ありがたいことに、先生とも相性いいみたいで」


「滝本先生ね! あの人、格好いいわよね。体引き締まっててさ、ありゃ絶対プロテイン飲んでるわ」


「弓香さん、プロテインって」


「うちの旦那もああいう締まった体にならないかしら。もうお腹がボヨンボヨンなのよ~」


「あはは! 旦那さんが聞いたら泣いちゃうかもよ」


弓香のジェスチャーに、紗良はボヨンボヨンの弓香の夫を想像してクスクスと笑う。


プール教室の先生はみな水泳キャップを被っているため、かっこいいと言われても紗良には正直顔の違いがよくわからない。いつも海斗ばかり見ているためあまり先生の顔を見ていないというのもあるけれど。

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