第23話 委員長の変身(ギャルside)
私、あまりにも天才すぎない?
鏡を見つめている委員長を見ながら、バレないようにそっと息を吐く。
委員長が鏡に見惚れてくれていて助かった。
たぶん私は今、かなり酷い顔をしているから。
昔から手先は器用な方だし、メイクは得意だ。
服装に合わせて、いろいろ練習してきた。
友達にメイクを教えることも多いし、やってあげることも多い。
だから委員長のメイクだって上手にやれるはず。そう思ってはいたけれど……。
さすがに、上手すぎない!?
いや、元々、委員長の顔のポテンシャルが高いんだろうけど。
委員長、格好良すぎるでしょ……!
服装や髪型も男装っぽいし、今の委員長には男装の麗人という言葉がよく似合う。
「ね、ねえ、委員長」
「なに?」
委員長が振り向く。
顔が良すぎて、卒倒してしまうかと思った。
「せ、せっかくだから、一緒に写真撮らない? ここ、明るいから盛れるし」
「うん、私も撮りたい」
どうしよう? いつもの写真アプリで撮るべき? それとも無加工のカメラ?
無加工の委員長の写真は欲しいけど、私の無加工写真は委員長に渡したくない……。
悩んでいると、委員長がスマホを見せてきた。
「アプリ、これでいい?」
委員長が見せてくれたアプリは、私も愛用しているものだ。
そして、いちごとしての配信でオススメしたアプリでもある。
「うん、もちろん」
「じゃあ、天野さん撮ってくれない? 私、自撮り上手くないから」
「分かった」
委員長のスマホを受け取り、角度を変えて何度か自撮りした。
「委員長、あのさ、委員長だけの写真も撮っていい? その、メイクが上手くいった記念に!」
これなら自然に、委員長だけの無加工写真が手に入るはず。
「いいけど……私も天野さんの写真、撮ってもいい?」
「え? 私? なんで?」
びっくりして聞き返すと、委員長は照れたように下を向いた。
そして、そのままゆっくりと話し出す。
「私、実は可愛い子の写真見るのが好きで」
……いや、それは知ってるんだけど。
「だから、天野さんの写真も欲しくて」
それってつまり、私が可愛いから、私の写真が欲しいってことだよね?
こんなのもう、ただの口説き文句じゃん。
「……いくらでも撮って」
「本当? じゃあ、お言葉に甘えて」
そう言うと、委員長は本当に大量に写真を撮り始めた。
いかにもオタクという感じの雰囲気だ。
こういうところを見せてくれるくらい、私に心を開いてくれたっていうことだよね。
そう思うと、嬉しくてたまらない。
「天野さん、見て。これ、めちゃくちゃよく撮れてない?」
「……委員長、写真撮るの上手くない?」
委員長が見せてくれた私は、自分で言うのもなんだけど、かなり可愛い。
少しだけ俯きがちで、頬をわずかに赤く染めている。
「被写体がよかったのよ」
委員長がにっこりと笑った。その笑顔にくらっとしてしまう。
委員長が私に心を許してくれたのは、すごく嬉しいことだ。
ちゃんと友達になれたんだなって実感する。
でも、それってつまり、これからは委員長がこうやってガンガン褒めてくれる……ってことだよね?
さすがに心臓が持たないかもしれない……なんて思いながら、私も委員長を連写した。
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