第4話 突然の休日

 休日。真奈美は学校近くのスーパーに来ていた。お菓子の補充である。真奈美自身はそんなに食べないのだが、強請られる数が多い。そのため週に1回は補給が必要なのだ。


「仲良くしてくれるのは嬉しいんだけどねぇ。お小遣いが足りないよ」


 バイトをすればいいのだろうが、両親が過保護なのでバイトをさせてくれないのだ。ちょっとでも安い個梱包のおやつを探す。


「真奈美?」


 籠をもって歩いていると、知った声が聞こえた。雄大だ。学校近くのスーパーなので、学生寮からも距離が近い。何か買い物に来たのかも。のそのそと近づいてくる。


「何してんの」

「君らがお菓子食べるから補給ですよ」

「ああ」


 ああじゃないのだわ。


「こんなに買うのか」

「食べる人が多いんだもん。筆頭は君だけどさ」

「…わるいな」


 大袋のお菓子が3つほどカゴに入っている様子を見て、食べすぎを自覚したようだ。今後は手加減していただきたい。

 雄大の買い物かごが目に入る。シャンプーや髭剃りフォーム等、生活用品が入っていた。雄大もひげが生えるお年頃らしい。父親の無精ひげを思い出し、目の前の綺麗な顎を見て、帰宅したら父親に髭を剃るように勧めることにした。長すぎて多分普通の髭剃りは無理だな。床屋さんで剃ってもらうしかないね。


「おい」

「はい?」

「カゴ、よこせ」


 何を言っているんだ。

 不思議に思いながら、カゴを渡す。そのままレジの方へ行ってしまった。何してんの。じっと見ていると、会計を済ませて戻ってきた。


「ちょいちょいちょい」

「ホラよ」

「いや、お金」


 財布を出そうとすると、いいからと押し返される。大袋3つを自分の買い物袋に入れられた。


「また貰うから、気にすんな」

「さよけ」


 お菓子を貰うつもりで買ってくれたらしい。下心があるなら、遠慮なくもらいましょうかね。大袋のお菓子を3つ仕舞うと、買い物袋がパンパンになった。軽いけど空気も入っているので仕方ないよね。

 そしてもう1個、チョコレートを手渡された。コレは前に貰ったお高めのチョコレートの種類違いだ。受け取らずに見ていると、買い物袋に突っ込まれた。


「これ、私は買い物かごに入れてないよ」

「いいから、受け取れ」

「いや、流石にお高いチョコは自分で食べなよ」

「いいから」


 引いてくれないので、しぶしぶチョコレートを貰う。受け取ったことに満足したのか、学生寮に戻っていった。何だったんでしょうか。

 雄大の考えを探ろうとしたが、アイツはちょっと天然なところがあることを思い出し諦めた。

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