第2話 騒がしい時間
1時間目。バレー部の顧問である
しかし、今はちょっと怖い。何故って? 雄大が熟睡してやがる。
開始10分は頑張って起きてたけど、20分は持たなかった。頭が下がったまま動いていない。坂東先生が黒板向いているときにどついてみたけど、全然起きない。坂東先生も雄大が寝ていることに気付いている。私が起こそうとして奮闘しているので、ちょっとだけ目こぼししてくれているようだ。それにしても起きない。
雄大の後ろの席に座っている
「久米、教科書で頭すっぱたいていいぞ」
「流石にそれはちょっと……」
流石に坂東先生もオコである。雄大は目つきが悪いので、頭すっぱたいて睨まれたら嫌です。チンピラみたいで怖いんだよな。
最終的に、雄大とついでに後ろにいる東くんは坂東先生に机をたたかれて起こされていた。隣にいた私もびっくりするくらい大きな音でした。
「起こせよ」
「起こしたが?! 何回も起こしたけど?!」
「俺が起きてない限りは起こされてない」
「どこの暴君よ」
授業が終わったら苦情がきた。流石に酷い。仕方ないので、おかし袋から個梱包のチョコを取り出して齧る。当然のように隣から大きな手が伸びてきたので、1個だけ渡してやった。
「ねみぃ」
「起きれ」
「次なんだっけ」
「古文」
「ねみぃわ~」
古文の教科書とノートを取り出す。古文は必ず、予習として教科書を写さないといけないのだ。私は当然、宿題と一緒に終わらせている。横を見ると、死んだ目をした男がいた。
これは、予習してないな。
「真奈美」
「無理」
「ひとっ走りしてコピーしてくっから!」
「前回それやって先生に怒られたじゃん」
私はルーズリーフを使っているから、コピーするのは簡単だ。でも、前回それをやって雄大はやり直しを受けている。そして、私も本人の身にならないと言われたのだ。ちなみに、古文の先生は放送部の顧問である。逆らえません。
「今から頑張って書き写しなよ」
「クッソ」
残り5分。今回、書き写す必要がある古文はちょっと数が多い。あまりにもかわいそうだから、チョコを机の端にお供えした。ムスッとした顔をしながらも、供えられたチョコをもすもす食べている。雄大の後ろの席からも大きな手が伸びてきた。東くんも男子バレー部でお菓子を強請りに来る常習犯である。
古文の先生が教室に入ってきた。雄大は書き写すのが間に合わなくて、授業中多めに当てられていた。可哀そう。
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