第12話

 その夜、ベッドに横になっても、ハルはすぐには眠れなかった。ここでエディアが泣いていたのか、と思うと。

 自分がエディアを好きだってことくらいは、自覚していた。

 一目惚れだ。可愛くて、苦労も悩みもないみたいな眩しい笑顔にやられた。

 ムリをして笑っているように見えたことはない。無邪気な自信にあふれて見える。何でも思い通りになる姫様らしく。

 ……ハルはちっと舌を打つ。

 隠れて泣くくらいなら、王様なんてやめちまえばいいのに。みんなの幸せなんて、背負えるわけねえだろう。

 ハルはいつか魔法で映し出した手下どもやチビたちの寝顔を思い出す。自分といたときより安らかそうな。

 ……俺は、ちっぽけな窃盗団も背負えなかった……。

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